修羅礼賛
天狗の面工場秘話
天狗の面工場の朝は早い。
年末も押し迫る中、年明けの商戦に合わせて職人達は急ピッチの作業に追われていた。
「社長、おはようございます」
「おはようさん」
社長である春日部は、いつものように工場内を巡回しては、社員達の仕事振りを確認する。
父親で天狗の面職人でもあった先代社長から「現場第一主義」とも云える経営思想を叩き込まれた春日部は、何より働く人間を大事に考え、先代同様職人達からの信頼も篤かった。
そんな工場巡回の道すがら、春日部は一人の職人が所在なさげに立ちつくしているのを見咎めた。
「おいおい、何してるんだ」
「あ、社長、それがその…」
彼は天狗の面に紐をつける職人である。
天狗の面の製造は全て流れ作業であり、一部の工程で滞りがあれば全体の作業に影響を与えかねない。
「それが、徳さんのところで、なんか止まってて…」
「徳さんが?」
「徳さん」とは、熟練の職人徳田のことだ。
天狗の面を塗らせたら右に出る者がいないと言われ、面の塗布作業を一手に引き受ける徳田は、この工場では欠かせない存在と云える。
春日部は急ぎ徳田の作業場所に駆けつけた。
そこには老境に差し掛からんという齢の男が、おのれの目を指で押さえつつ、辛そうな面持ちでしゃがみこんでいるのが見て取れた。
「徳さん、どうしました?」
「あ、若社長。すんません、なんか目がしばしばしちゃって…。寄る年波には勝てないもんですかねえ」
徳田は、春日部にものごころがつく前からこの工場で働いている最古参の職人である。
先代社長から経営参加を求められた時、職人一筋でやっていきたい旨を主張し、それを固辞したとも聞いていた。
「そろそろオートメーション化を考えないとダメかな...」
ふいに春日部の口をついて出たのは、徳田が期待していたねぎらいや同情の言葉ではなかった。
「え?オートメ...それって、あっしはもうお払い箱ってことですかい!?」
その時すでに徳田の悲痛な叫びはもう春日部に届いていなかった。
なぜならば、これから買う最新機械や雇うアルバイトの時給のことなどで、春日部の頭は一杯だったからだ。
(続かない)
| メッセージの投稿はユーザー登録が必要です |
日本の職人の技というのは機械では再現出来ない程優れています。
しかし、職人の方も歳には勝てなく、
その技を継ぐ若者も現れない状況では
オートメーション化は止むを得ない選択でしょう。
悲しい事ではありますが、これが現実なのでしょうね。
などとマジレスしてしまうこのネタの完成度ってw
いい話かと思いきやwww
サクシャのユーモア、油断できないw
自分では無く徳さんの為に皆が一致団結して行われた感動のスト偏は読めないのですか?
職人として生きることを自ら選んだ以上、徳さんが春日部社長の経営方針に口を差し挟むわけにはいかないでしょう。ただ、熟練工としてお払い箱にされる道も、春日部社長が選ばせないと思います。たとえオートメーション化されても、そのノウハウは仕上げの段階などで不可欠でしょうから。やがてアルバイトに訪れるであろう少女の影には、きっと温かく見守る徳さんの眼差しがあるのだろうと思います。(年頭に商戦があるんですね…)
このベースラインはやばいです!
カッコ良過ぎます。
ついにピアプロにもソワカちゃんの波が。
シリーズの中ではOPと並んでこの曲が同率首位をキープしてます。
スリリングな展開にしびれます。
ピアプロ会員がこの作品を複製・頒布するにあたり、以下の条件を守って下さい。
- 非営利目的に限ります
- この作品を元に動画などの別作品を作った時は、できるだけ「使わせてもらいました」のメッセージを書いて下さい
-
またその時、この作品のURLやリンクを、できるだけ表記しましょう
この作品のURL: リンクタグ:


