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か細い声が
零れては消えてく
最後の願いをのせ
浮かび上がる水泡(みなわ)が弾けた
暗い底から
貴方の影を見てた
積もる愛しさに
全て捨ててしまっても良い気がした
声と引き換えに与えられた
突き刺さるような痛みにも耐え...

DEN LILLE HAVFRUE

響葉

響葉

low様の曲にかかせていただきました。
http://piapro.jp/t/05W6


━━━ 東の空を見ると、もうあけ方のあかね色がだんだんはっきりして来ました。
ひいさまは、そのとき、するどい短刀のきっさきをじっとみて、その目をふたたび王子の上にうつしました。
王子は夢をみながら、花よめの名を呼びました。
王子のこころのなかには、花よめのことだけしかありません。
短刀は、人魚のひいさまの手のなかでふるえました。
--でも、そのとき、ひいさまは短刀を波間とおく投げ入れました。
投げた所に赤い光がさして、そこから血のしずくがふきだしたようにおもわれました。
もういちど、ひいさまは、もう半分うつろな目で、王子をみました、そのせつな、身をおどらせて、
海のなかへとび込みました。
そうしてみるみる、からだがあわになってとけていくようにおもいました。
 いま、お日さまは、海の上にのぼりました。
その光は、やわらかに、あたたかに、死のようにつめたいあわの上にさしました。

                           (中略)

 そのとき、人魚のひいさまは、神様のお日さまにむかって、光る手をさしのべて、
生まれてはじめて涙を目にかんじました。━━━


人魚のひいさま
DEN LILLE HAVFRUE
ハンス・クリスティアン・アンデルセン
楠山正雄訳
         より抜粋