回遊【巡音ルカ・オリジナル】

ルカ姐さんによるロックバラード。都会で泳ぐ魚のように。

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【回遊】


乾いた目にとかした　甘い香りの粒が
重い金属のように　消えずに残って
傾く月のカーブ　指でなぞった君
零れ落ちた言葉　拾い集めていた

「誰のせい」と毒づき　救いを求めた
誰もいなくなった部屋で　何を待っている？

きつく抱いた　あの日の面影
鳴り止まないノイズが　身体を駆ける
黒く咲いた　花の香りだけ
太陽と思い出が　深く沈んでゆく


立ち止まらず歩いて　街角に漂った
群れた魚の中で　大空夢見た
地下鉄駅のホーム　押し寄せる大波
流れに身を任せ　力をなくした

銀の肌に触れても　感じられないと
解っていたつもりだった　戻れないことも

醒めた月が　瞬く夜空で
遠ざかる鳴き声が　虚しく響く
硬い爪で　いっそ切り裂いて
すべて消す朝陽なら　忘れてくれるの


消えゆく姿で　私をわたしに
重なり始めた　時間を

「もう一度」

抱いた　あの日の面影
鳴り止まないノイズが　身体を駆ける
黒く咲いた　花の香りだけ
太陽と思い出が　深く沈んでゆく