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イチオシ作品

ほーぷふる。

 ある日、ある昼、ある商店街の一角。 彼女の目に、一つの小さな看板がとまった。 「良い人、随時探してます」 看板が指していたのは 湿気で黒ずんだ、木製の扉。 恐怖混じりの好奇心に誘われ、扉を開けた。  店内は、木目調の家具と壁紙で統一されていた。 あてもなく視線を泳がせている彼女に、 「いらっしゃい」 少し年を召したような男性が、奥ののれんから声をかけてきた。 「外の看板を見たんですが……」 「意味分からないんだろ?」 「はい」 彼女がそう言うと、店員はいきなり笑い出した。 「何でしょうか」 「一年くらい前にもはっきり物を言う奴が来たんだが、 あまりにあんたとその人が似てるもんだから、つい」 「すいません、馬鹿にしてますか?」 「別に悪い事じゃないから、うん」 店員は気にもせず微笑んだ。 「ところで、良い人探してますってどういう事ですか」 「ちょっとした占いだね。 将来『良い人』になるか『悪い人』になるか、それを占う」 「そんな簡単に判断できますかね?」 「やってみれば分かるから。そこ座って」  両肩を押され、半ば強制的に彼女が席に座ると、 店員はカウンターから真っ白な紙を一枚持ってきた。 「まず名前を教えて」 「ルカです」 「ここにさ、将来の夢を簡単に描いて欲しいんだけど」 「それって本当に占いなんですか」 「大丈夫。占いだよ」 店員の自信満々な態度に、渋々絵を描き始めた。  それから数分後。 「できました」 おもむろに店員が紙を手に取り、絵を眺める。 「……どうなんですか」 「時間があればでいいけど、少し待っててもらっていいか? 店自慢のコーヒーでもおごるから」 「いいですよ」  店の厨房裏、店員の休憩所。 店主が彼女の絵を持ってため息をついていると、 「そんなに悩んで、どうしましたか?」 1人の女性が声をかけてくる。 「俺の占いの腕も落ちたな。 判断できなかったのはこれで5人、いや8人目くらいかもしれない」 隣に居た妻が、絵をそっと覗き込む。 「私は無邪気で良い絵だと思いますけどね」 「無邪気すぎるんだよ、彼女は。 歌を歌う自分の姿。余計なものが無くて、右隣に1人分の空白がある。 ここから意志は感じられるけど、自分で何かしたいってわけじゃない。 まるで、……そうだ。ここに入る人に全て任せたかのような」 店主が空白を指差す。 「何か問題ありますか」 「もしここに『悪い人』が入ったら、 彼女もためらい無く『悪い人』になる気がする」 店主が困惑気味な顔で妻を見上げると、 妻はくすくす笑って口にした。 「純粋で優しい人っていうのは、 必ず誰かと一緒になるから大丈夫ですよ」 「そんなに上手くいくとは思えないが」 「なら、こうしたらどうでしょうか」 妻は店主の耳元で何かをささやき、 軽やかに口笛を吹かしながら休憩室を出て行った。  店主が席に戻ってきたとき、渡したコーヒーは空になっていた。 「待たせたね。占いの結果が出た。……『期待したい人』だ」 「訳分からないんですが」 「あんたは純粋で、他のやつを心底信頼できる。 だからあんたが、というよりも一緒に居る奴次第なんだよな。 で、だ。来年ここにもう一度来てもらえるか? できれば、友達と一緒に」 「私の友達の事、知ってるんですか」 「その内5人か8人くらいを占ったことがある。 名前は恐らく……」  店主は数人の名前を出して確認を取った後、 厨房裏から自分の妻だという女性を呼んできた。 女性は彼女に握手とサインを求め、 戸惑いながら彼女は初めてのサインを書き、両手で手を握ったのだった。    彼女が店を出た後、妻はサインを両手で大事そうに持っていた。 「きっとあの子達、有名になりますよ」 「随分な自信だな」 「将来こんなに明るい子達なんだから、当然でしょう」    店主はその夜、書斎に居た。 明治時代からの名簿帳には、数々の偉人の名が描かれていた。 一番新しい冊子から、店主は今回と同じような人達を見つけた。 店主は一人一人の 『悪い人になる可能性有り、今後に不安』という表記に 二重傍線を引き、こんな風に書き直したのだった。 『妻によれば、今後が非常に楽しみ』 ……と。

「桃色の嘆き」のプロローグとして
入れていた作品。

小さなお店の、大きなお話。
投稿日時 : 2012/08/23 00:09

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