タグ「巡音ルカ」のついた投稿作品一覧(18)
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【巡音ルカ】ひばりの泪
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【鏡音リン・レン他】祝・民族調曲コミュ一周年【告知】
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「どうしよう……」
体温計が示した値に、あたしは途方に暮れた。
レンが倒れるのなんて、少し前まではよくあることだった。自分が芸能界に入ったきっかけも、レンの代役だった。
別に珍しいことじゃない。
ここ二年くらい調子が良かったから油断していただけ。雨に降られたんだから、こうなって当然だ。
あ...【小説】wo R ld's end 12
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「わぁっ!」
書斎の方から声がして、僕は扉を開けて中を覗いた。
「……何やってるの?」
少女が僕の家で暮らし始めてから、一週間以上が経っていた。腕を怪我した僕のためか、彼女は慣れない手つきで家事をしてくれている。
だが、料理は壊滅的で、掃除洗濯はそこそこ上手いのだが、たまに失敗する。
埃の中...【小説】wor L d's end 11
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「大丈夫、大丈夫」
何度も何度も、ただ無意味に繰り返される言葉。
ミク姉に抱きしめられた少女は、真っ青な顔をして震えていた。その理由すら、僕には分からない。しかし、少女がひどく怯えていて、ミク姉の声すら耳に入っていないことは分かった。
ミク姉は僕の存在に気付いたようで、少女の方を気遣いながらも...【小説】wor L d's end 07
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家に帰ると、他のメンバーの姿はなかった。
レンの靴はあったから、もう帰っているはずなのに。
ダイニングテーブルの上に、台本が置かれていた。あたしが、レンと一緒に主演の予定だった映画。
こんなところに置いておくなんて、わざとだろうか。レンはあたしに、読んでほしいのだろうか。
震える手で、その...【小説】wo R ld's end 06
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杖を地に突き立て、前もって村の周辺に描いておいた陣を浮かび上がらせる。
魔法とは、呪文と陣、すなわち言葉と図形を組み合わせて起こす奇跡のことである。
そう言うと難しそうに聞こえるが、なんていうことはない、ただ単に「自分が考えていることを言葉と図形で表現して、それを相手の思考に刻みつけてしまう」...【小説】wor L d's end 05
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「ミク、ルカ!」
靴の音を高く響かせて、部屋の中へ入る。
「カイトはどこにいます?」
「んー? えっとねぇ……」
ミクが、その辺をきょろきょろと見回した。部屋の中にいるわけでもないのに、きょろきょろしても意味ないと思う。
可哀そうだから言わないけど。
結局、カイトは未だに、騎士としてこの王宮...【中世風小説】Papillon 終
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「何してるの!」
声が響いたかと思ったら、後ろから思い切り腕をひねりあげられて、俺は剣を落とした。
後ろを見ると、目を真っ赤にはらしたミク姉が、驚いたような顔をしている。
俺は、思わず笑ってしまった。
「何驚いてるの、自分でやっといて」
「だ、だって……」
剣を持っていた俺を見て、自殺すると...【中世風小説】Papillon 12
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無言で差し出された剣。カイトは俺をまっすぐに見て、いつもの穏やかな表情すら浮かべず、剣を持つように促した。
「ちょっと、カイト!」
ミク姉が走ってきて、カイトを止めようとする。だが、カイトはそれすら無視して、ただ俺を見ていた。
「何やってるの、二人とも! まだ、外に出ていいなんて言われてないよ!...【中世風小説】Papillon 10
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君だけを見ていた、とか、君だけを守りたい、とか。
もうそんな、白々しい言葉しか思い浮かばない。それを証明するものなんて、もうどこにもない。
夢の中で、ただ君の姿を探していた。夢の中でくらいは、君の笑顔に会いたかった。
降り注ぐ光の中、噴水を浴びて、緑の絨毯に寝転がった日々。一日中、手を放さず...【中世風小説】Papillon 2
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あなたはもう、忘れてしまったでしょうか。二人でなら、何もこわくなかった頃のことを――。
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「ルカ姉! メイコ姉!」
あたしは、白い衣のすそが翻えるのも気にせずに走り、部屋に飛び込んだ。あまり品はないけれど、これでもこの王国の第三王女だ。
「ねぇ、レン見てない?」
部屋の中にいた姉二人...【中世風小説】Papillon 1
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役人たちが圧倒的に不利な状況になったわけではない。しかし、最初の炎が歌に消され、一度彼らは切り上げた。
「またすぐに来るだろうな」
ルカは、そう言いながら、物見台の上で見張りをしている。
昨日の炎で焼かれてしまった家々を見て、人々は落胆し、しかしまだ生きていることに感謝していた。この状況で感謝...【小説】サーチライト 10
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「うっわぁ、すごーい」
リンは素直に感心した。
感心すべきところではないのかもしれないが、あまりの金額に、そうとしか言えなかった。ミクの首にかけられた額。首、とはいっても、条件は生け捕り。よくも悪くもこの美貌なのだ。元ご主人様は、相当執着しているらしい。
「すごいって、リン……」
呆れた様子で...【小説】サーチライト 9
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「わぁ……すごい」
フードを深くかぶったまま、ミクは感心する。街と呼ばれるような場所に訪れたのは、久々だ。その活気に、人の気配に、圧倒される。
「すごいすごい!」
隣にいるリンは、呆れるほど元気だ。そんなリンの首根っこをつかまえて、ルカがつばの広い帽子をかぶせる。
リン自身の過去も分からないし...【小説】サーチライト 7
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「つまり、こういうことですか。ミクさんとルカさんは、レン――あ、呼び捨てでいいですよね、を探している、と。そんでもって、彼の居場所はもちろん、現在の実年齢も外見年齢もよく分からなくって、唯一の情報はあたしの顔なわけですね」
リンの顔が情報、というのはよく分からないが、まぁリンによく似た顔、という意...【小説】サーチライト 6
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「それで、なんでこんなことになったわけ?」
長い桃色の髪の女性が、呆れた口調で言った。申し訳ありません、とミクは素直に頭を下げる。
はぐれてから五日後、ルカはちゃんとミクを探し出した。
水が調達できない状況だったら貴女死んでたのよ、と散々怒鳴った後、ミクを助けたリンに礼を言う、そこまではまぁよ...【小説】サーチライト 5
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「メイコ!」
名前を呼ばれた女性は、不服そうに目を開け、暗い部屋の中に浮かび上がる白い服を見つける。
息を切らしたその様子から、非常事態なのだと分かったが、しかし彼「ごとき」が自分を起こしたという事実にムカついた。別に身分差があるわけではないが。
「なによ、カイト」
まさか、この集落が人間に知...【小説】サーチライト 1