タグ「小説」のついた投稿作品一覧(13)
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とある病院の一室。
その寝たきりの娘は口も利けず、手足も自由に動かせませんでした。
交通事故で医者からは手の施しようがなく、
もう5年近くずっと同じベッドで同じ窓の風景を見つめていました。
娘が癒える事を望んでいた両親や友人でしたが、あらゆる手段を尽くしても
効果は得られないことが分ると次第に彼女を...【pray】不幸な娘【短編小説】
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身に覚えのない森にいた。
木々の葉は多くが枯れ落ち、とても5月初めの季節とは思えない死んだような森。
近くには湖のような大きな水溜りがあって、壊れた電化製品や自転車などの違法投棄物が堆積している。
枯れた木々には数匹の烏が留まり、時折羽をバタつかせてはカァカァと悲鳴のような鳴き声を発した。
身に覚え...【小説】常識科学の魔法学17
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その後、激闘の末、松戸父の懇願に根負けした俺たちはまるで荷物でも投げ込まれる様に旅館のスイートルームに放り込まれた。
それはもう一端の大学生や新卒社会人が到底支払えないような立派なスイートルームで、こんな部屋が無料でとなると、逆に気が引けてならない。
旅館の一室は日本庭園と鹿威しの風流を重んじる造と...【小説】常識科学の魔法学16
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「超うさぎ風呂・・・だと?」
駅からさほど離れていない山中。
バスから降りるや否や、うさジャージのその開口一番を皮切りに竹井壮の住人たちの開ききった口。
『超ウサギ風呂』の幟をかざした超高級旅館の門前にはズラリとならんだ門松と石畳。
巨大なうさぎの石像が立ち並び、仲居さんが総出でお出迎え。
うさジャ...【小説】常識科学の魔法学15
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「痛ってー。本気で噛み付いて来たぞ聖の奴。」
「まぁ宿屋が重複して予約してあったらそれは普通消しますよね。」
ホテルでの惨事が終わった後のこと、流石にホテルには入れてもらえず、今度こそ宿無しとなった俺たちは他に行く当てもなくローカル線の待合室に腰を下ろしていた。
「だから俺じゃないって言ってんだろ。...【小説】常識科学の魔法学14
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もちろん宿のキャンセル料の支払いは達樹先輩が行った。
当然財布はすでにすっからかん状態の達樹先輩のはずだが、この時やけに素直に支払った達樹先輩に違和感を覚えた。
「以前の俺とはちっげーの。グレートマジンガーとマジンガーZくらいちっげーのよ。大人ってのはよ、動じないもんなんだぜ。」
そういって肩を叩い...【小説】常識科学の魔法学13
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穴。
その廃墟の壁には大きな穴が開いていた。
その穴を食い入るように覗き込む僕と女の子の影。
漆喰が見るも無残に剥がれ落ち、廃材となった建材と家具に囲まれて吸い込まれそうな真っ黒い空間がひたすらに続いている。
この廃墟にはこんな噂があった。
今でこそ廃墟ではあるが、当時はとある裕福層の立派なお屋敷だ...ホラー小説)幽霊女と廃屋生活
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*5
「いや、おかしいだろ。何言いだしてんだよ。落ち着けって。」
「・・・・・。」
Meちゃんは冷静に僕を見ていて、取り乱したといえばどちらかというと僕のほうだ。
それは当然の事で、いきなり殺人犯扱いされれば誰だって取り乱す。
そんなの納得できるはずがない。
怖いことをさらりと言い放つ彼女。
これは...【小説】キミと僕と道化師と5
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*3
「なんでそんな落ち込んでるのよ。」
「いやいや、普通落ち込むでしょ。」
だって変な人形としゃべってたって事だろ?
おかしいだろ。
どう考えても変だろ。
理屈屋?
怪奇現象を前に理屈もくそもありますかって事ですよ。
そんな心情を知ってか知らずかMeちゃんの顔はおもちゃを見つけた子供のように期待に...【小説】キミと僕と道化師と3
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???「とーりゃんせーとおりゃんせー」
少女の心は澄み切った空のように爽快だった。
やっと自分の願いは叶えられるのだ。その時をどれだけ待ったか分からない。
多分一生ぶんの苦汁を舐めさせられたと少女は思っていた。
「こーこはどーこの細道ぢゃー」
どうして自分は、あのような人物にあのような約束をしてしま...【小説】常識科学の魔法学4
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竹井壮
柏木 「そしてそのまま犯罪者扱いです。」
達樹先輩「なにお前それでオメオメと逃げ帰ったの?」
聖姉さん「仁くんあんなに頑張ってたのにねぇ。というか早速私達に話しちゃってるけど大丈夫なの?」
切りたんぽ鍋を前にして、「三河島 達樹」と「千住 聖」は俺の話を聞いてそんな言葉を発していた。
結局...【小説】常識科学の魔法学3
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黒田教授「世界は数式だ。
数式はモノの考え方で理論だ。
理とはIN・OUTの関係にあってシステムだ。
システムこそが世の中を構築しているのだ。
そしてそれを生み出す想像力こそ人間である。
千方百計、神機妙算、発想次第でどんなシステムも作り上げることができてしまうのが人間の成せる業であろう。
貴君らに...【小説】常識科学の魔法学2
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第一回講義。
「今日は西暦2514年、4月・・え~っと・・。」
「9日。」
「ありがと。9日っと。」
教室使用の届け出を同期の院生と事務室に提出する任を黒田教授から仰せつかった。
同期と言うだけで特に何もないが、超絶美人の女子と二人っきりでこういうやり取りができるのは
男としては誇らしい限りである。...【小説】常識科学の魔法学1