タグ「MEIKO」のついた投稿作品一覧(9)
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世界は楽しいものなのだと私に教えてくれた、青く澄んだ髪と目の青年は、そこにはいなかった。
私の信じていた世界が崩れ去る。
ここは一体どこで、私は何なんだろう。
何もかもがわからなくなった。
>>09
病室に移されたカイトと、まだ混乱したままの頭を抱えた私だけがいる病室。
私の視線は、まだ目を覚まさな...ツギハギだらけの今 09 >> for one's
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扉を開いた先、何もなければ良いと思っていた幻想は無残に打ち砕かれた。
黒々とした煙が充満し、思わず咽ながら部屋中を見渡す。
天井の照明が割れてガラス片が飛び散り、爆発地点であろう机は炭色に染まって壊れていた。
>>08
「カイト……?」
散々な部屋の中、カイトの姿は机の向こう側にあった。
爆発で吹き...ツギハギだらけの今 08
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私は気付いていた。
どこかで、世界がつまらなくてくだらないものだとは思えなくなってきたことに。
でもそれは、今までの自分を否定することと同じで、すぐに認めることができないでいた。
物や人と極力関わらないでいた私が、カイトと出会ったことで変わっていく。
私が認めようが認めまいが、カイトと関わることで私...ツギハギだらけの今 07
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喫茶店でお茶をして、少しばかり買い物をしてから家へ帰った。
その後は普段していたように、夕飯を済ませ、風呂へ入り、本棚に背を預けて布団をかぶる。
疲れた身体を癒すために、そして脳内の情報を整理するために睡眠へ。
そこで私は、父に会った。
>>06
薄く思考が陰っている感覚があった。
濃霧のようなはっ...ツギハギだらけの今 06
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次の日目覚めても、夢は夢のまま、現実に戻ることはなかった。
その次の日も、そのまた次の日も。
ここが過去であったとして、未来に戻るわけでもない。
ただただ、ここにいる時間だけが空虚に過ぎていく。
ふと、私はあの時代から、あの現実から弾かれたのではないかと思った。
しかし、その考えもすぐに掻き消えてい...ツギハギだらけの今 05
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新聞に記された日付が、電子映像の端に映る日付が、私がいた世界との差を示していた。
よくできた夢だということで無理やり思考を片付ける。
しかし、一応はこの時間帯から元の時間帯への戻り方を思案した方が良いだろう。
目を閉じて大きく息を吐いた。
>>04
自分の中にある確かなことを再確認してみよう。
私が...ツギハギだらけの今 04
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難しい本に囲まれて、本棚に背を預けたまま私はいつの間にか眠ってしまっていた。
確かに見ていた夢の中で、私は父と一緒にいたように思う。
詳しくは覚えていなかったのだが。
>>03
「――さん……メイコさん、起きてください」
どこかで聞いたことがあるような、穏やかな声色に起こされた。
覚醒途中の頭が徐々...ツギハギだらけの今 03
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君は誰なんだ、と男は問う。
困惑した表情の男を見ながら、私も同じような表情をしているのだろうと予測する。
何なんだろう、この状況は。
>>02
互いにわけがわからないので、とりあえず家に上がらせてもらって自己紹介をした。
男の名は『カイト』。
髪の色と瞳の色は青か、紺碧。
年齢は20歳前後、180近...ツギハギだらけの今 02
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うだるような暑さの中、こんな時にまでいちゃついているカップルの横を通り過ぎ、余計な鬱陶しさを感じながらも足早に家へと歩を進める。
目立つ外見を隠すための帽子で、既に頭の熱さは眩暈がするほどだ。
楽になるはずなのに全く楽じゃないのはどうしてだろう。
ヘッドフォンからは最近よく聴くようになったCMソング...HPNOTIQ HYPNOTIC