結野舞弥@しゃちくったーさん

設立ほやほやな何でも創作チーム「しゃちくったー」主催の結野です。

結野舞弥@しゃちくったーさん

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neetlicon112j

設立ほやほやな何でも創作チーム「しゃちくったー」主催の結野です。
(まぁ、私しかまだメンバーはいませんが……ww)

メインは作詞で活動しています。(作曲者、一緒に作れるメンバー大大大募集中です!!)

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基本小説書きですが、少し暇を見つけては作詞をしている程度です。
それなりに書けるかなぁとは思っていますので、「新人起用!」的な意味合いで是非ともお声かけいただければと思っています!!

最終更新日時:2018/01/23 01:55:05

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イチオシ作品

序~とある店主のある日~

 朝日がカーテン越しに差し込み、薄暗い彼の部屋を緩やかに照らす。  もぞりと体を揺らし、まだ覚醒していない脳みそを頭を振るってどうにか起こし、ベッドから這い出る。  冷蔵庫まで千鳥足で向かい、買い込んでおいた炭酸水を一口飲む。きりりと冷えた強炭酸の、しゅわっとした刺激がのどを通り抜け、思考がクリアになり、彼は完全に目を覚ました。  カーテンを開け放って大きく伸びをすると、残っている炭酸水を飲み干して体をほぐす。  カレンダーと古ぼけた壁掛け時計をちらりと横目で確認。  時刻は午前八時。日付は六月の十二日。ついこの前に見た天気予報では、すでに関東は梅雨入りしたとか言っていたけれど、今日はそんなの関係ないと言わんばかりの快晴。  思わず、言葉が漏れる。 「本日も晴天なり、ってか」  独り言ちて、思わず苦笑。そのままさっとシャワーを浴びていつもの服に着替えると、階段を下りていつもの場所へ。 「お、綾瀬君。今日は早いね」  下に降りると、やはりいた。  長い髪をひとまとめにし、イスとテーブルを並べなおしながら準備をする彼女の姿があった。  彼女は、僕が下りてきてカウンターへ入るのに気が付くと、布巾を丁寧にたたんでカウンターへもたれかかる。 「早いのはいつもですーっ。マスターこそ、今日はちょっとゆっくりなんじゃないですか?」  そうかなぁ、と思いつつ時計を見る。  シャワーを浴びて身支度をして降りてきて――たったそれだけの工程でまさか三十分以上もたっていたとは思わなかった。  時刻は九時前。開店まであと一時間ちょい、といったところ。  店内をさっと見渡す。掃除もテーブルの準備もほぼほぼ完了していた。きっと彼女――綾瀬君が低血圧の僕を見かねて、準備の方を早く進めてくれていたのだろう。 (頭が上がらないな。終わったら、おいしいものでもおごってあげなくちゃ)  カウンターへ入り、食器類をさっと確認。昨晩綺麗に磨いておいた食器やグラス類は、朝日を反射してキラキラと輝いている。  ふらりと冷蔵庫を確認。  必要な食品は一昨日の内に揃えておいたから、現段階で必要なものは特にない。しいて言うならば―― 「綾瀬君。今日、彼は来ると?」 「あぁ、悠ですか? 学生会の用事があるとか言っていたんで、午前中の内は来ないでしょうね。来たとして、夕方くらいからでしょうか」  今日は君は授業はないのか、という疑問はとりあえず胸の中に隠し、ひとまず安堵の息をつく。 「ということは、夕方まではあの激アマなコーヒーは出ないわけだ」 「あ、ウインナコーヒーですか? 悠、確かにアレ好きですしね」  担当職務上、もとい、彼曰く「仕事において小まめな糖分接種が必要」のために特別に用意したホイップクリーム乗せコーヒーの為の準備は、若干足りない気がするが、それまでには問題はなかろう。  いつも通りに手拭いを頭に巻き、着物の帯を巻きなおして時計を横目で見る。  開店まであと十分。  外をちらりを見る。  どうやら、開店を待ちきれなくてすでに数人、外で待ち構えているようだ。  仕方ない。この際、もうどうしようもなかろう。  僕はカウンターから出て、出入り口のカギを開ける。  がつり、というだいぶ鈍い音が響き、ゆっくりと扉が開く。  扉の向こうにいた数人の来客に対し、僕はいつも通りの笑顔を向け、こんな風に言うのだ。 「ようこそ、カフェ・デ・ラ・サンセットへ。今日は、何をご所望かな?」  時刻は夕方、午後四時半。  この喫茶店「カフェ・デ・ラ・サンセット」には、二つの顔がある。  一つは、和装のマスターが入れるおいしいコーヒーと軽食を楽しめる、隠れ家的喫茶店。  そしてもう一つ。和装のマスターがカウンターに立ち、彼とともに小気味いい音楽とお酒を、マスターとともに楽しめる、小さなバー。  コーヒーと軽食、そしてカクテルをはじめとする多種多様な酒類。夕方四時から六時の二時間。たった二時間だけ、この二つの顔をまとめて楽しむことができる、唯一の時間となる。  学生たちは、授業を終えひと時の休息と友人との談話を楽しむ時間、仕事を終えた人たちにとっては、一日の終わりを互いに労う、そんな憩いの時間となる。  そしてその時間は、同じようにここの店主――日下部文にとっても、憩いの時間である。  コーヒーを淹れながら。軽い軽食を作りながら。カクテルをシェイクしながら。ビールを注ぎながら。  何をしながらでも、ここを訪れる常連客はもちろん、スタッフ、初めて訪れた客も、次第に心を開き、他愛のない話をするのだ。  そんな時間が、文にとっては至福の時間だった。 「ねぇ、マスター?」  少し前に入ったオーダーであるオムライスの卵を溶いていると、となりでグラスを磨いていた彼女――ここのスタッフである綾瀬京が話しかけてくる。  彼女の問いかけに、文は「んー?」と聞き返すも手は止めない。溶き終わった卵に塩コショウをふり、気持ち多めの油を温まったフライパンに垂らすと、溶き卵を勢いよくフライパンに流し込んでいく。 「マスターって、なんで喫茶店やろうと思ったんですか? まだ二十代半ばですよね?」  他にも仕事、あったんじゃないかなって。そんな風に問いかける彼女に、完成したオムライスを更に盛り付けると、自らオーダーの合ったテーブルに持っていき、戻ってくる。そのままにしてあったフライパンをさっと洗うと「そうだね、もちろん、仕事はほかにもあったよ」と返してから、続ける。 「僕としては、いろんな出会い、を見てみたかった。これが一番かな」 「色んな、出会い?」  きょとんとした彼女の表情を見て、小さく笑うと、オーダーが落ち着いたことを確認しつつ、グラスを磨きながら続けた。 「こういう喫茶店とかバーって、いろんなお客さんが来るだろう? 常連さんしかり、一見さんしかり。そういう人たちとこのカウンター越しだったり、注文を受けながらだったりして話してて、思うんだ――」 ――この人たちは、ここじゃない場所で出会って、それぞれキラキラした人生を歩んでて、物語を描いていて…… 「そんな人たちに、ほんのちょっとだけでもこの場所が憩いの場所だったり、その物語の彩りになったらいいなって思って、な」 「マスターって……意外とメルヘンチックなんですね」  ぺしり、と軽く彼女の頭をはたく。もちろん、ちょっとしたスタッフと店長間のスキンシップ。  ちろっと舌を出して「オーダーとってきまーす」と逃げるようにカウンターから抜け出す彼女を見送って、再びグラスを磨き始める。  そんなとき、カウンターに一人の男性が訪れた。 「どもっす、マスター」 「あぁ、悠くん。大学の方はもういいのかい?」  いつもの、という端的なオーダー。軽く笑顔を見せてから彼――滝原悠は頬杖をついてオーダーをとりに行った彼女を視線で追う。 「ホント、ここでのあいつは元気だ」 「元気すぎて、なかなか僕もついていくのが精いっぱいだよ」  そんな風に互いに苦笑。見合って思わず笑みがこぼれる。ウインナーコーヒーを彼の前に出し、ふと、店内を見渡す。  この店をこの場所に出して、早くも5年は経ったろうか。始めた当初も、立地的にもよくなかなか順調だったが、今になってようやく「軌道に乗り始めた」というか、彼自身の「理想」に近づいた、そんな感覚がある。 「こっちの構図のほうがベストじゃない?」 「いや、物語の流れ的にはこっちのほうが……」 「そうね、なら、この二つを活かせる、そんな方法を……」  一つのテーブルを囲んで、何やら創作活動に没頭している学生二人。その二人を、笑顔でスーツ姿の女性が眺めながらカクテルを飲んでいる。 「サク、今度の土日どっか行こうよ! 草津とか、箱根とか!」 「それ、目当ては温泉だろ……」  旅行雑誌を広げながら、次の休みの過ごし方を練る学生二人組。  ノリノリで勢いのいい女子に対して、男子の方は若干めんどくさそうな表情をしている。だが、めんどくさいというよりもその反対の気持ちがあるだろう。 「容態、ようやく落ち着いてきたんだって? 良かったですね会長」 「あぁ。これでようやく学生会の方の業務にも顔を出せそうだ。ただ、無理はよくないそうだから、もう少し頼ってしまいそうだな」  車椅子を引きながら店内に入ってきた二人組を、京が案内していた。  車椅子を使っている、ということは、無理がきかない体なのだろう。ただ、それを感じさせないほど、彼女の表情からは力強さというかそんなのを感じた。  そして彼女を押している男子も、その細い体からは想像できない、どこか想いのこもった声音が響いていた。 「ほんと、色んな人が来るんすね」 「もちろんだとも。それが、この店だからな」  悠の言葉に短く答え、頼まれていたハニートーストを差し出す。  磨き終えたグラスを戸棚にしまい、一息つく。  時計は間もなく午後六時を回ろうとしているところ。もうすぐ、この店の夜の時間。  カウンターの下にセットしてあるコンポを操作し、今までアップテンポだっBGMを、ゆったりとしたスローテンポのジャズへと変える準備をする。  カウンターに京が戻ってきて、見計らったかのように悠もまた、エプロンを着てカウンターに入る。  二人が入ったことを確認すると、文は戸棚に入れておいた自分用のドリンク――中身は特製のカクテル――を飲むと、再びカウンターに立つ。  ちりりん、となる入口のベル。真鍮製の優しい音が鳴り、新しい人が、このカフェを訪れた。  その人たちに対して、文は今日何度目かわからない、ただ何回言っても飽きることない言葉を、普段通りの笑顔で言うのだ。 「ようこそ、カフェ・デ・ラ・サンセットへ。貴方たちにとって、幸せな時間を送れますように――」

 自分が作詞している作品たちは、昔自分が書いていた「未完のとある小説」がベースになっています。

 その小説は、現在は引っ越しやらの際にデータごと吹っ飛んでしまい本文はありませんが、約一か月前、たまたま「設定集」的なデータを発見しました。
 その設定を再構成して、改めて小説を書き、完成させようと思いました。

 本作品は、その小説群「夕暮れに照らされて~カフェ・デ・ラ・サンセットのとある日」のすべての序章になる物語です。
 他の作品(現状は「Happy Tear/A sunny day after tears」のみ)には、この後に「登場人物覚書」がありますが、ネタバレになりそうなので今回はお預けです……!

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投稿日時 : 2018/06/24 00:28

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