イチオシ作品

砂が溢れてこぼれ落ちて行く
掻き集めてみても拾いきれない

床に擦れる掌の模様
広げて行くさまを何も云わずに

薄暗闇から昏く瞬いて
光る猫の三日月がぼくを見つめてた

触れないで 触れないで 目覚めることのない夢
その深い泥の中 沈むように

消えないで 消えないで 甘く蝕むまぼろし
このまま塗り潰して

朱い 朱い三日月


時計の針は午前二時を指し
やけに明るい月
影を映して融けるみたいに

欠け落ちた何か 満ち足りる虚像
逃げ切れない退廃がぼくに追いついて

醒めないで 醒めないで この心地良い悪夢で
這い回る水の底 藻掻くように

云わないで 云わないで そのお終いの台詞を
惑うぼくを見たまま

朱い 朱い三日月が

ふわり 目を細めた

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投稿日時 : 2017/02/04 19:19
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