朱音(アカネ)です。 小説やポエム創作をやっています。 時々、メロディラインのみの作詞作曲をやることもあります。 宜しかったら覗いていって下さいね
プロフィールを見る投稿作品35作品
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嵐運ぶ風は 闇の扉開く
君の瞳の中 暗い影が宿る
古く遠い記憶
穢し穢された日
軋むこの胸に
今も罪が宿る
今に揺れて 笑顔作っても
それは君の 疵痕を
覆い隠せない
わたしには 君の瞳に...旅路。
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遠い記憶
あの空の朱さ
近くで霞む
黒くそびえる虹
あなたに頼れと言うの?
それなら私
今ここで語るわ
明るい笑顔さえ
いつか
私を侵していくと...朱と黒
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少年にまとわりつく影は
少年に関わろうとするもの全てを拒む
夕焼け色に染まる部屋の中で
少年の周りだけが影で暗い
失って初めて分かる幸せの尊さ
手放して初めて分かる光の残酷さ
少年を包む影は安息をもたらす
それを知った少年は光に別れを告げた
寿命の近づきを感じながら
影に守られて生きる少年...いのちの証。『2つの谷の物語』
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天国も地獄も無くて
ただ虚無の海に沈んでいく遺体
僅か10年の生涯を閉じた
少年の遺体の行き場は
せめて少年の母の元へと
廻り廻る水の流れに託された
少年の胸には銃弾
その銃弾は少年の父が
少年を撃ち抜いたものだった
僅か10年の間に...ありがとう、『2つの谷の物語』
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ユルサナイ―
―そう呟いたのは誰だったのか。
誰を赦さないというのか
誰が赦さないというのか
少年は決して
自らを赦さないと決めた
自らを赦さずに
少女の幸せだけを祈り続けた
少女は決して
を許さないと決めた...ユルサナイ、『2つの谷の物語』より
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何億人もが生きる世界で
「宿命」に選ばれてしまった少年
少年は孤独に生きる
いつか「宿命」によって
少年の命が消える日まで
少年は何のために生まれた?
―ただ死ぬために生まれた
少年は何のために生きる?
―いつか死ぬ日のために生きる
「宿命」に選ばれ...約束。『2つの谷の物語』
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少年は僅か10年の生涯を閉じた
遺された少女は涙を流しながら
少年の棺に花を添えた
こうして少年にもやっと安息がもたらされた
少年の父と母が愛しあったことに始まった悲劇
残ったのは憎しみと嫉妬と
過酷すぎる「宿命」
母は父の為に命を懸け
父は憎しみと嫉妬に苛まれ
少年と少女は引き裂かれた...きずな。『2つの谷の物語』より
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光溢れる幼い記憶
優しさに包まれていた頃
分かち合った宝剣
握りしめて審判の時を待つ―
少年が去った姿を
少女はもう振り返らなかった
今や少女は全てを知った
全てを知った代償に
少女の感情はゆっくりと凍りつき
少年はゆっくりと墜ちていった...終わりと始まり、『2つの谷の物語』
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アイツを壊して
アイツの血を受け継いだ忌み子をも
俺は壊してしまいたかった
それは美しい双子の忌み子
少年が1人、少女が2人。
俺はその忌み子たちを胸に抱き
そうしてここへと連れてきた
少年はアイツに似ていた
少女は、アイツが死なせた妻にとても良く似ていた。
アイツが死なせた妻...憎しみの狂人、『2つの谷の物語』
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頬をそっと撫でる冷たい風
君に伝えたくて
僕からは伝えられなくて
結局僕は口を噤んでる
向こうの谷から聞こえてくるのは
悲痛な声、君の叫呼。
こちらの谷では
僕は独りぼっちで
ただ君による終焉を待つのみ
何をしたいかと尋ねられ...昔々のお話は、『2つの谷の物語』より
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繰り返す、振り返る。
「宿命」の先のそのまた先の先
「宿命」は希望かそれとも絶望か
それを知っているのは未来だけ
温かい場所で守られる少女
「宿命」に蝕まれていく少年
お日様の光が綺麗な場所
温もりに満ちた場所
守られることを欲した少女
少女をその場所で守ったのは...先の世界のそのまた先、『2つの谷の物語』より
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ヒト社会の歴史は四千年
子どもの命を食らいながら四千年
僕は生まれてから早十年
僕は食らわれる命となる
空気が凍りつき木が枯れる冬
声さえも届かない闇夜に
少年は食らわれる命となる
未来への光は閉ざされる
少年は世界を憎んじゃいない
生きとし生けるもの全てを抱いて...喰らわれる命となる、『2つの谷の物語』より
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残酷な運命に泣き叫ぶ少女
もはや少女には言葉は届かない
少女の目の前で
少年は銃弾に撃ちぬかれ倒れた
少女は驚きに目を見開いて
倒れこんでいく少年をただ見つめてた
少女が信じていた世界は壊れた
少年を撃ち抜いた銃弾を放ったのは
少女がよく知る大切な友人だった
少女は友人の方を振り返った...銃弾の行方、『2つの谷の物語』より
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君の温もりが好きだった
僕は君が隠していた痛みに気づかずに
君の温もりに溺れていた
何も知らなかった自分が情けなくて
君が最期に産み落とした双子から
僕は逃げ出してしまった
それからどれほどの時が経ったことだろう
偶然にも僕は
かつて捨てた我が子である双子に再会し
あろうことか双子の兄の方を...罪と僕、『海の中の箱』より
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生きる意義を見失った少年は
死神とともに暮らしてた
たまに訪れる野良猫は
死神を恐れてやがて来なくなってしまった
死に囚われた少年は
自分の感情を捨て去って背を向けた
少年を撃ち抜いたあの日の弾丸には
いつかやがて
弾丸を発した人の元に戻る日が来る
弾丸を発した人を撃ち抜き...死神、『二つの谷の物語』より
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がっくりとうなだれた少年の首
少年の声は男に届かず
男の声も少年に届かず
男は少年に銃弾を放った
その時の少年の目は確かに
男を赦していた
男は願った
もう二度と痛みなんていらないと
だから男は銃弾を放った
そうして男は少年を裏切った...囚われの迷宮