(…僕、なんでミクさんの曲を作っているんだろう?)
 改めて自問するブライスP。最初は軽い気持ちで曲を作り出したことは否めない。しかし、曲を作るにつれて、自身が曲を作り続ける理由がわかってきた気がするのだ。
 (…そうだ、作っていて、僕自身も楽しいし、みんなを楽しくできるからだ)
 改めてそう思うブライスP。最初に苦労して作ったオリジナルの曲をグレーラとDe-Fallの二人に聴いてもらった時、二人とも楽しそうに聞いてくれたし、褒めてもくれた。グレーラは、自分の知り合いにPがいると話せるようになったといい、自慢の種が一つ増えたと言ってくれた。De-Fallは、ただただ驚いていた。そんな二人の感想を聞いて、楽しかったし、次の曲作りのモチベーションもできた。曲を公開した時も、感想は少なかったが、好意的な感想が多かったと思っていた。
 (…そうだよね。楽しんで作らないと)
 改めてそう思う主人公。楽しんで曲を作れば、その気持ちが周囲に伝わると思っていた。
 (よし、頑張ろう。ミクさんのために、どうしても3月9日にアップしたいな…。ミクさんもその方が喜んでくれるだろうし)
 ブライスPにとって、"初音ミク"は実在する存在だった。グレーラとDe-Fallが聞いたら笑うかもしれないが、そう考えて曲を作ると、しっかりと曲が作れる気がしていた。
 (…とにかく、今は曲を作らないと)

 (何のためにブライスPのミクさんの曲のためにイラストをつけてるんだろう…?)
 改めてそう考えるDe-Fall。最初は、ブライスPと昔からやってきた縁で何となく引き受けていたのだが、改めて振り返ってみると結構長い期間ブライスPの曲にイラストを提供している。流行っているアニメやゲームのイラストなどに比べると、かなり長い。
 (不思議だな…、なんでだろう?)
 その疑問について、しばらく考えるDe-Fall。
 (…そうだ、ミクさんが変わり続けているからだ)
 一つの答えにたっするDe-Fall。さらに考える。
 (その変化についていくためにミクさんのイラストを描き続けているのかもしれない…)
 そう思うDe-Fall。初音ミク、そしてそれを取り囲む現象は、新しいことに挑戦し続け、変化を止めていないと思っていた。
 (ミクさんが変化しつづけているから、ずっとミクさんを描き続けられるの理由の一つなのかもしれない…。…だったら、描き続けないと…)
 そう考え、イラストを描く作業を再開するDe-Fallだった。

 (俺がミクさんに惹かれた理由って何だろうな?)
 改めて考えるグレーラ。そう考えて、初音ミクに関する様々なことを思い返す。
 (…そういや、ミクさんは人と人とをつなぐハブだって、だれか言ってたな)
 その言葉について、さらに考えを巡らせるグレーラ。
 (…そんなミクさんの周りには、本当に色々な人が集まってるよな)
 グレーラが記憶を掘り起こすと、曲やイラスト以外に、初音ミクで創作する人々がいる。それだけではない、初音ミクたちのために、日本を飛び出して追いかける人々がいることも知っていた。
 (…そういう人々を見てると楽しいんだよな。…俺もその中に入りたかったのが、ブライスPの提案にのった理由だったよな)
 グレーラはブライスPのように曲を作れるわけでも、De-Fallのようにイラストが描けるわけでもなかった。ブライスPの提案に対し、De-Fallが絵を提供することを申し出たときに、自分に何ができるか必死に考えた結果、二人の曲と絵を組み合わせて動画にする動画編集の道を選んだのだった。
 (…なら、こんなつまんねえことで内輪もめしてるわけにはいかねえ。明日二人に謝らないと)

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2017年3月9日 7節

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投稿日:2017/03/09 23:37:11

文字数:1,547文字

カテゴリ:小説

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