臆病者の部屋

ずきお

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白い部屋の床に、ナイフが一つ。
目を覚ました私、周りを見渡す。

窓の無い空間に、パネルライトの
明かりが照らすものは、
銀色のナイフ。

其処に在る事の意味を、
見つめる事を、
やめた。

肌掻き俯いた、赤い腫れ跡。
何度目か、夢見た後の天井。

ナイフには赤い錆。
足りない指は、何処へ？

一人遊びは楽しくて、腹を抱えた。
指しゃぶり、滲む赤広がっていく。
白い部屋で。

寂しさを忘れていた。
枯れた涙の泉。

掬い飲むのは、人の声。
聞こえない振り。
色付く部屋の中、呟いていたい。
私の為。

夢の中でも自虐的、嘘を吐いてた。
（指噛み、溢れた血を見ていたくて、）

殻に閉じこもって、自分を守った臆病者。
（ナイフを突き立て、粋がっていた。）

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