レコードは今作られる
(The record is made now)


時は昭和 20年 08月 07日 午前 08時 07分
場所は日本は関東地方の千葉県は海軍木更津飛行場内の食堂。

「お早うございます。食堂で何時も私達軍人さん達の胃袋を満たすため
厨房で毎日料理を創られていらっしゃる 『お姉様』 の方々に感謝致します。」

食堂のセルフ式の配膳カウンターで、毎朝恒例になった朝食前の挨拶をする
着任して二週間程の海軍技術士官奄美大島時休大佐が食堂で世話しなく働いている
お姉様方に朝食前の御挨拶をしました。

「は~~い、何時もご丁寧に朝の挨拶をしてもらってありがとねぇ、アマクロちゃん !!」

「処で今朝の定食は何ですか ?」

「昨日江戸前で水揚げされた 体長 30cm位の大ぶりの『コノシロ』が珍しく配給されたの。
この 『コノシロ』って魚は小骨が多くて調理が大変何だけど、何時もお国の為に日々厳しい
任務につかれている軍人さん達の為に腕に縒りを掛けて 『コノシロの葱味噌焼き』 を
おかずに何時もの豆腐と小松菜の入った 『御御御付け』 と 『麦ご飯』 ですね。」

「そうですかぁ、『コノシロ』 は確か 『出世魚』 の一つで昭和 15年の端午の節句で
東京の佃島にあるとある江戸前寿司屋さんで 『旬のおすすめ握りランチセット』なる
八種類八巻の握りを地元に住んでいる友達にご馳走になったんです。で、その中の一つに
『コハダ』の握りがありました。私はその時迄 『穴子』 や 『蝦蛄』 、『スズキ』 と
鮪の赤味の 『づけ』 位しか食べたことがなく、あいにく 『コハダ』 の握りを頂いたことが
ありませんでした。
処が その時 『コハダ』 の握りを口にしたとたん今迄感じたことのない 言葉では表現出来ない程の
味覚を経験致しました。」

「ふうん~~~~~ん、そうなんだぁ、へぇ~~~~。うふふっ。」

「うふふって何かあったんですか ? 『お姉さま』 !!」

「あら、御免なさいねぇ。処でそこのお寿司屋さんって隅田川の畔に在りませんでしたか ?」

「ええっと、確か築地市場から勝どき橋を渡って一つ目の大きい交差点を左に曲がり其れから
五分位歩いた川沿いにありましたよ。」

「はいっ、ビンゴっ。おめでとう御座います。そこのひと、うちの親戚の恐持てで頑固そうな
お爺ちゃんが細々と家族だけで営業しているのよ。
もうかれこれ十年位顔あわせていないんだけどその時元気そうに見えたかしら ?」

「はい。私が 『コハダ』 の握りを食べた時の表情を見て
『ようっ、どうしたぃ。その表情から察するに 【まいりましたっ】てとこか。
中々良いセンスしてんじゃないか ? そこの 【若者】 さん。』
と語られたです。」

「んでその後暫くお寿司屋さんの 『裏話』 的なことについて三十分位そのお爺さんの
一人語りが続かなかった ?」

「はい、魚河岸さん達のことから始まり江戸前 (東京湾) で獲れる海産物の話や
江戸前のすしねたの 『いろは』 を懇切丁寧に教えて頂きました。
『コハダ』 の仕込みは可也手が掛かっているそうで、
『お客人、この 【旨さ】 が分かって貰えておいらも幸せもんだ。
普段からこつこつ手抜きをしないで地道にやっているんだけどさっ。
職人冥利につけてこれ程嬉しいことはございません。
Thank-you ! Baby !! 』
とお話の最後にお礼を言われて仕舞いました。」

「アマクロちゃん、あんたよっぽどうちのお爺さんに 『お気に入り』の人に
されたんだねぇ。普段は無口でだんまりを決めている人でめったに他人に
そういう話はしないんだよね。」

「はい。そう言っていただけると嬉しいです。毎度ありがとう御座います。
処で 『コノシロ』 は小骨が多くて調理が大変な洋にお爺様からお聞きしたんですけど。」

「 確かに 『コノシロ』 は小骨が多くて仕込みが大変とは言われているけど、多分 『骨きり』 の
ことでしょう。まぁ、思ったより難しくないわ。
鱗を取ってお腹を開いて内臓と鰓を取り除いて2~3ミリ間隔で中骨に当たるまで切り込みを入れるだけです。
包丁を前に軽く押すように、じゃっじゃっっとさばけば良いのょ。」

「そうですか。 分かりました。 それでは『お姉様』 の温かい心がこもった
『コノシロの葱味噌焼定食』 をありがたくご馳走になります。」

「は~~い、了解致しました。 『アマクロ』 大佐殿。たんと召し上がれ。」



と厨房の中の 朝食の支度で忙しく働きながら奄美大島氏と楽しく会話をされていた
食堂の料理の 『お姉様』 の朝のワンシーンをお伝え致しましたよ。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

The record is made now

いきなり時代が昭和 20年 08月 07日に迄タイムワープさせて仕舞い、皆様方にはご迷惑をお掛け致します。
前回は 昭和 05年の物語でしたが、その物語の続きは次回以降に予定致しております。
尚予定は変更させて頂くことも御座いますので、その時はご容赦願います。
今回ご登場して頂いた 奄美大島時休大佐はフィクション名で実在された本人の名前は種子島時休大佐 (当時)
後、奄美大島大尉のニックネーム 『アマクロ』 さんは 奄美大島に今現在国の特別天然記念物に指定されている
『アマミノクロウサギ 』 を短縮して考えさせて頂きました。

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2011年 08月 10日 02 ; 09 追記させて頂きました。

†‡†一行詩†‡† 昭和20年 コノシロ コハダ 奄美大島時休 アマミノクロウサギ 職人冥利につけて←用法が変 昭和20年のビンゴっ! Thank・・・以下敵性語にて検閲 切腹魚として武家・軍人は嫌った

敵性語 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%95%B5%E6%80%A7%E8%AA%9E

株式会社IHI|石川島資料館|石川島資料館
http://www.ihi.co.jp/shiryoukan/index.html

東京大空襲 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E5%A4%A7%E7%A9%BA%E8%A5%B2

写真で見る関東関西の違い
鰻のさばき方
http://www.touzai-bunka.com/unagi.html

(関東地方 >> 背開き
関西地方 >> 腹開き )

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投稿日:2011/08/07 09:07:52

文字数:1,957文字

カテゴリ:その他

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