#11 「奥義・双鏡神楽舞」
周りの物音が吸収され、次第にサランの体からバケモノの肉体が形成され始める。もう人間の体とは言えないくらい恐ろしく残酷な怪物の姿。
ムージン「どうなってる… サラン!!俺が分かるか!?」
リン「ムージンさん、今貴方の声は届いてません。危険ですから離れていて下さい!!」
ムージン「そんな…」
カナタ「こっちだ!!」
ムージンを避難させたのとほぼ同時に、音憑きのエネルギーの吸収が終わった。そして、動き出す…
ミク「殴るとあの子にもダメージ入っちゃうんでしょ!?どう戦うの…」
レン「ミクは音エネルギーの量が多いんだ!あのサイズの攻撃まともに相殺出来るのはミクとサクマさんだけなんだ、デカい攻撃を止めてくれ!!」
リン「多分、装甲は壊しても痛くないハズ!あれが邪魔だから私達が壊した後封印に入る!!」
サクマ「音憑き、俺も前に相手にしたんだが、あの見た目でやたらスピードが速い。気をつけろ!!」
そして音憑きの周りを取り囲み、作戦を開始した。
カナタ「…頼んだぞ。」
ミク「せりゃ!!」
振り下ろされた鉤爪に狙いを定めて、ミクは音エネルギーの塊をぶつける。想像以上に奴の一撃が重い分、長期戦は出来ない。
リン「くらえ!!」
リンの一撃で、装甲が大きく剥がれた。残るは狙いにくい頭の装甲のみ。
レン「おらぁっ!!」
音憑きの背中に飛び乗り、上に走る。しかし音憑きも必死に振りほどこうと暴れる。
ミク「あ、そっちはダメ!!」
なんと奴はカナタとムージンが避難してる部屋の壁を突き破った。避難場所の選択ミスだ。
レン「こんのっ!![茨の二重螺旋L]!!」
遂に頭の装甲を破壊出来た。後は封印するのみ
…と安堵してたのもつかの間、音憑きは何故かムージンに向かって暴れだした。
カナタ「まずい、こっちに来るぞ!!」
ムージン「サラン!私が分からないのか!?頼む、止まってくれ!!」
カナタを庇い前に出る。このままでは…
[マスタ-、ゴ無事デスカ…?]
鈍い音が響き渡る。宙に舞う機械の破片。
こんな事があり得ようか。なんと音憑きに刺されたのはムージンではなく、先程ミクに遠くに吹き飛ばされた[完全なる知能]を捨て兵器と化したガラクタだった。
感情を再現する為のエネルギーを持ってすらいない彼女が、最後の力を振り絞ってムージンを助けたのだ。科学の域を超越した「キセキ」が起きたのだ。
ムージン「お前…ッ!?」
軋む機体を無理矢理動かし、自分に突き刺さる音憑きの腕を掴んだ。
[アナタハ、マスタ-ニトッテカカセナイソンザイ。ゼッタイニタスケテミセマス]
音憑き「ハナセ…ッ、ハナセ!!」
ミク「こんな事って…」
サクマ「天才科学者の生み出した最高傑作が、ここまで完成していたとは…」
ガラクタに宿った感情が、音憑きに一瞬の隙を作る。このチャンスを逃したらもう封印出来ない…!!
リン「レン、やるよ!!」
レン「双鏡檜扇、召喚…」
すると二人の両手に綺麗な檜扇が光と共に具現化された。交錯し、麗舞し、紅白色の音粒を散らす。
[サランサン、キョウカラハアナタガマスタ-ヲササエテアゲテクダサイ。]
レン「絶対助けてやるからな!!」
リン「鏡音家伝承奥義…」
[双鏡・神楽舞]!!!
辺りを舞う音粒が檜扇に集まり、その一振りで音憑きの体を巻き上げる。莫大なエネルギーを圧縮し強烈な一撃を放つ…!!
ムージン「本当にすまなかった。まさかサランの病気を治せる人が来るとは思ってなかったんだ…」
サクマ「貴方の身柄は少しの間拘束させていただきますが… 一応この研究の技術は捨てるには勿体ない。釈放された後はきちんとした科学の道に戻って来ることを祈っています」
ムージン「データはある程度残ってる。持ってって上手く使いなさい」
そうして、彼は到着してた車に引き渡された。
運転手「先程起きた事は軽くサクマ君から聞いておいた。なんでも、[クラウン社]に機材の製作を依頼してたらしいな?それに加え、[レインボー・サイリウム]の招待をなぜ知っている?」
ムージン「それについて少し。近日中に[円卓]の開催予定はありますかね?」
運転手「円卓ですか… そろそろやっておかなければ、とシャンラン様も仰ってましたよ」
ムージン「そうか。では私を重要参考人として参加させて貰えないか?私の知り得た情報はそこで公示する」
運転手「成程… 変なマネはするなよ。とりあえず、今回の音憑の被害にあった少女もこちらで保護させて貰うけど、いいかね?」
ムージン「構わん… ついでに彼女の故郷も調べておいてくれるとありがたい…」
ミク「あ!目が覚めた!!」
リン「動ける?」
ものの数分でサランは目覚めた。
リン「…とっとりあえず栄養ドリンク飲ませておくから!みんなを呼んできて!!」
ミク「分かった!」
彼女がいつから音憑にやられていたかは定かではないが、何日も人格を乗っ取られてる人間がすぐにあれこれ動ける訳はない。
サラン「お姉ちゃん…誰?」
リン「君は知らない人だよ、ただのお節介な医療調律員」
サラン「ちょーりつ?」
リン「そうだよ、さっき君は怪物に体を乗っ取られてたの。それを浄化するのが私達のお仕事」
サラン「そうだったのね… ありがとう。」
リン「別にいいよー、無事でよかったよ」
しばらくベッドの上で横になるサラン。
カナタ「ミク、その子の意識は戻ったか?」
買い出しに行っていたカナタとレンが帰ってきた。
リン「もう少し安静にさせてあげて、少しだけ皮膚の細胞が壊死してる所があるし…」
レン「肉体の回復には時間がかかりそうだな… ん?」
レンがベッドの横に飛びつく。彼女の顔を食い入るように見るやいなや、顔から血の気が引いていく。
レン「お前… ソラじゃないのか!?」
一同「!!?」
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ガチですすいません。ネタ生かせなくてすいません。
今回は3ページと、比較的コンパクトにまとめることに成功しました。
素晴らしき作品に、敬意を表して。
↓「前のバージョン」でページ送りです...【小説書いてみた】 神曲
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