正面玄関のはがれたブロックは
猫先生の行動範囲
運動不足の解消に
本一冊分の回り道が丁度いい
散歩コースの終点に
古いビールケースの台を置き
魚を焼く匂ひなんてまるで気にならないやうな
研究に打ち込んでゐる

町の図書館の常夜灯の下は
白く冷たいタマの場所
排水溝には五円玉一つ
流れる音が耳に心地いい
軽業師のやうに
塀から塀へと飛び移りながら
途方もなく大きな力が働いてゐる
この世界の一部になつてゐる

私は泳げない
空も飛べない
選挙権もなく
税金も払つてない
人間なんかをうらやましいと
思つたことはないよ
ただ耳かきつてやつで
耳をかいてみたいなとは思ふ

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
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猫先生

閲覧数:24

投稿日:2019/01/04 23:19:01

文字数:283文字

カテゴリ:歌詞

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