マスターが学校に行き、暇な時間。
俺とロウは俗にいう昼ドラというものを見ていた。
「……シキ、貴殿はどう思う?」
お茶を片手にテレビを見ているのは、最近ウチに出入りするようになった燭音ロウ。
ロウ曰く危険だった所を俺等のマスターに助けてもらったらしく「主君の恩義に答える為、我はこの家に遣わせて貰おう」らしい。
そんな古風な考えを持つロウがいきなり俺の方を見て問いかけた。
テレビの事だろうと思い、「まあ面白いんじゃないの?」と適当に答える。
「たわけ、このテレビとやらの事では無い。
……REITOの事だ」
「あー…うん、どうにか直そうとは思ってるんだけどね」
困ったように俺が返事をすればロウはまたテレビに視線を向け、お茶を啜る。
苦い、と一言だけ呟くとそのお茶を一気に飲み干し立ち上がる。
「ん、どこ行くんだ?」
「REITOの様子を見に行くだけだ」
「んじゃ俺も行くよ」
「フン、勝手にするがいい」
一応、俺の方が1歳年上な訳なのだがロウは相変わらずといったところか。
全く年上に対する言葉使いではなかった。マスター(ロウは主君、と呼んでいる)にはきっちりとしているのにな。
……まあ、俺が言えたものじゃないけどな。
そうして歩いているうちにREITOのいる部屋に。
ロウは丁寧にノックをしてから入ると、すぐにREITOに駆け寄る。
「……成程。起動はしている状態なのだな」
「まあな、だから何処が壊れてるのかも分からないって感じだな」
「強制的に終了してみたりもしたのか?」
「……そしたら二度と起動しないんじゃないかってディス兄がさ」
「ふむ。ディスが言うのなら間違ってはいないだろう……困ったものだ」
そう言い、あごに手を当てる仕草は本当に俺の年下なのかと目を疑うくらいに様になっている。
くるりと、辺りを見回してから俺に向かって言う。
「周りで蠢いている霊達が嘆いているな」
「そりゃな、REITOは誰にでも……幽霊にも優しいから。悪い霊もすぐ懐くらしいよ」
「ほう、今度やりあいたいものだ」
何を、と俺が問いかける前に部屋の扉がバンと大きな音を立てて開く。
「あ、マイとサウじゃん」
「ピノちゃんから聞いたの、REITO君が壊れたって」
「ウチのマスターが力になれる事は無いかって俺達を派遣したらしい」
マイとサウはお見舞いに良くある花束と果物のセットをREITOの横に置くと、じっと見つめる。
「まるで人間みたいだね」
マイはそう言ってREITOの頬に手を添える。
人間みたい、もう一度呟いてから手を離した。
「ところで隣にいる人はだあれ?」
マイはロウを見ると俺に問いかける。
サウはREITOを見つめたまま、黙っていた。
「こいつは燭音ロウ。最近ウチに出入りしてるんだけど……」
「我の事はどうでも良かろう。先ずはREITOだ」
ロウは俺の言葉を遮り、マイに一言告げるとREITOの方へと視線を戻す。
マイにいたっては「面白い人だね」などと暢気に言っていた。
「もしかして、一生目を覚まさないって事は……」
サウが口を開くとマイが素早くサウの口を両手でふさぐ。
口だけではなく、鼻まで一緒に押さえてしまったようでサウは息が出来ず悶えていた。
そんな2人のやりとりを見ていると何だか穏やかな気持ちになれる。
「……ありがとな」
2人に聞えるかも分からない声でそう呟き、俺は部屋を後にした。
-----シキの一週間-----
(こういう時こそ明るく元気に、か。マスターが言ってたっけ)
(マイとサウのおかげで思い出せたよ)
(……ありがとう)
殺音シキの一週間@月曜日【亜種小説】
1話目はこちら→http://piapro.jp/t/dO2Y
※燭音ロウって誰?と思った方はhttp://piapro.jp/t/NeyGを参照して下さい。
▼亜種を貸して下さるマスター様まだまだ募集!
ストーリー上、借りれなかったらごめんなさい。
マイちゃんとサウ君がお見舞いに来てくれました(´・ω・)ノ
とりあえず亜種さんを借りるにあたって決めていた役は
「お見舞いに来てくれる人」
「シキを元気づけてくれる人」
「何か直すヒントを与えてくれる人」
「シキを慰めてくれる人」
「諦めかけるシキを怒る人」
みたいな感じで考えてたので、マイちゃんとサウ君でお見舞い+元気づけるをクリアしちゃいましたww
シキを怒る人はもしかしたら……うん、うちの子で終わらせる気がしなくもないw
ここまで読んで下さり、有難うございます!
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枯葉
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ナヅキさん、こんにちは。
燭音ロウ君のイラスト見ました!ルカの亜種を見たのは久しぶりでした。
前回も同じ事書いてますが、続きが気になる、、、
楽しみにしています!
2011/09/13 12:24:59