8月も終わりに近くなり、徐々にではあるが秋の気配が感じられるようになってきた。それと同じくしてワンオフのミクのバースデーライブの練習もより本格的になってきた。
「ただいま…」
深夜の日付が変わろうかという時刻、その日の練習を終えて、ようやく家に帰ってきたワンオフのミク。流石に疲労の色は隠せない。
「お帰りなさい」
そういってワンオフのミクを出迎える雅彦。そうして雅彦が先導してキッチンに向かう。キッチンのテーブルのワンオフのミクの席には、雅彦が置いたワンオフのミクのお茶碗と箸が用意されていた。そうしてワンオフのミクのための夕食を暖め始める雅彦。一方ミクは冷蔵庫に入っているメロンソーダを出してマイカップに注いで自分の席に着き、メロンソーダを飲みながら夕食が暖まるのを待つ。
「はい、どうぞ」
しばらくすると、暖まったおかずを配膳する雅彦。ワンオフのミクも自分のお茶碗にごはんをよそう。
「雅彦さん、ありがとうございます。…いただきます」
そういって夕食を食べ始めるミク。そんなミクを見ながら、マイカップに新しく入れた麦茶を飲みながら、温かく見守る雅彦。
(…大変だけど、幸せだな)
雅彦の視線を受けながらそう思うワンオフのミク。基本的に雅彦は夜更かしをしない性格で、夜更かしするのは、帰りが遅いことがある他の六人を起きて待っていてくれる時だった。特に、今は他の五人もミクのバースデーライブの練習で疲れているので、ワンオフのミクを起きて待っている余裕はないのだ。時間を考えれば、雅彦も寝ていても良いのだが、自分を起きて待っていてくれることは嬉しかった。そんな雅彦に、色々なことを話すワンオフのミク。不満や、取るに足りない内容を話しても、雅彦は嫌な顔一つせずに聞いてくれる。周囲に波風が立ちそうな内容を話すこともあるが、雅彦は絶対に口外しない。
「ごちそうさまでした」
ワンオフのミクが食事を終える。すると食器をまとめ、食洗機に持って行く雅彦。食洗機に入れておけば、食器洗いから乾燥まで自動でやってくれる。
「お風呂に入ってきます」
「分かった。それじゃ、ミク、お休み」
「…雅彦さん」
「ミク…!」
返事しようとする雅彦の胸に飛び込むワンオフのミク。雅彦もその意図を理解して、ミクを受け入れる。そうやって二人はしばらくそのままでいた。他の家族は寝ているため、見られる危険性は低い。
「…雅彦さん、ありがとう」
ようやく満足したのか、ワンオフのミク。
「…あまり無理しちゃだめだよ」
「はい」
そういって雅彦は自分の部屋に戻り、ミクは入浴するため浴室に向かった。
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