~第四幕~ 復讐の娘

 ここは、悪逆非道と呼ばれる国の小さな村の酒屋。
「またなの!ルカ!」
こういうのは、この国の中で珍しい赤い髪をした私。
ルカは別の国から来たので、ピンク色の髪だ。
「そうみたい。最近また物の値段が上がってきちゃって・・・。あぁ、またこの国の人がさからって殺されたみたいよ。」
「もう何人、王女にさからって殺されたのかしら。」
「たしか、メイコさんもの彼氏も」
「それは言わないで。」
私の家族は飢えて死に、家畜も全て死に絶えた。
 全てはこの国の 悪の娘 のせいで。
お金も食事も足りないと私たち民衆は集いうったえた。
けれども王女は聞く耳も持たず、何人もの人が王女にさからい殺された。
 その中に私の恋人も含まれていたのだ。
 私の大切なものを奪う王女。
「絶対に許さない。」
「メイコさん、私たちを助けてください。あなたなら絶対にあの王女を倒せます。」
ルカは言う。私はうなずいた。

 暴君王女が恋に落ちたと聞いた。
 けれども男は別の女に一目ぼれ。
 王女は最後の理性を失い、命令で緑の国が滅ぼされた。
 王女の命令で死んだ人々はもう何人目?
「絶対に倒してやる。」

 ある日、広場で怒りにわいた民衆たちが集まる。
「ついに行くのね。メイコさん。」
「えぇ。」
「僕も行くよ。」
青の王子も参戦だ。
 静かに開戦を告げるのは、赤い鎧をまっとった私。
「さぁ、行くわよ!ついてきて。」

 幾多の民が私に集い、幾多の民が血を流す。
苦しむ人々の叫びで王女を振るわせる。
[さぁ、敵(仇)目の前よ!」
青の王子と同時に復讐の刃を、城に向ける。

 ついに、紫の髪をしたどこかの国の増員も訪れて、終わりを告げる時が来た。
民衆たちの声を背負い玉座へ駆け上がる。
「どうして?」
廊下ですれ違う、召使の服を着た悪の娘。
 何処へ逃げる?
 あなたの居場所はもうないのに。
片割れを置き去りにしてどこかへ走って行く。

 リンと顔した召使。
青の王子に剣で顔を上げられる。
けれども強い瞳。
剣の落ちる音がする。
とっさに私は召使の腕をつかみに行く。
「この、悪魔!]
青の王子が泣いていた。

悪逆非道の王国の、全ての人々を救った、
 赤き鎧の女剣士。
処刑の時間は午後三時の教会の鐘がなる時間。
王女と呼ばれる召使、独り牢屋で何を思う。

 終わりを告げる鐘がなるのは後数分後。
断頭台で黙り込む召使に
「今まで人々を殺してきたところに自分がいる気持ちはどう?」
召使は何も言わずに私をにらんだ。

 ついに時がやってきた。終わりを告げる鐘がなるのを、民衆に混じり王女が聞いていた。
私は剣を振り落とす。
 王女はその場でしゃがみこんだ。
「私たち、同じだね。」
 横を見ると、青の王子も涙を一粒流していた。
悪の娘と共に・・・。

 のちに英雄といわれても
  私も所詮
   「―悪の娘―」










    復讐の娘、メイコは
   自分と同じ苦しみを、リンやカイトに与えてしまい、
   不幸せになった人が少しでもいたから
   自分も[―悪の娘―」と、思ったのでしょう。
    メイコの望む世界は、
   全ての民が幸せになることだったのかもしれません。
    では、全ての原因、
     悪の娘
    を見てみましょう。






ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

悪ノ・ストーリー 第四幕

投稿が早いのは前から書いていたからです

閲覧数:438

投稿日:2011/09/11 18:16:45

文字数:1,397文字

カテゴリ:小説

オススメ作品

クリップボードにコピーしました