UV-WARS
第一部「重音テト」
第一章「耳のあるロボットの歌」

 その13「サラvsトラップ群」

 テトの目に砂漠の真ん中に立ち尽くす人影が映った。
〔あいつが、タイプN!〕
 砂の中から砲台が複数現れ、テトたちに攻撃を開始した。
 それは18ミリの機銃掃射だったが、テトの盾に弾かれる結果になった。
 砲台は、小隊長とモモのビームライフルが逐次破壊した。
 次に現れたのは、高出力レーザー砲台だった。
 その圧力は盾で防ぐことはできたが、テトの足も止まってしまった。
 盾に弾かれた光の帯が、次々とテトの背後に消えていった。
 その光の帯が、小隊長とモモの狙撃を妨害していた。
 ビームに曝されて、盾が縮み始めた。
「デフォ子、盾が、もたない!」
 その時、砂の中から、もう一台のレーザー砲台が現れた。
 それも真横からテトたちに狙いを付けていた。
「奥の手を使うか」
 そう小隊長が呟くように言った時、聞き覚えのある声が聞こえた。
「あたしに任せて」
 テトの頭上を人影が通過した。
 空から赤い布が降ってきた。
 赤い布はレーザー砲台をすっぽりと包みこみ、その機能を停止させた。
 後から現れたレーザー砲台も降ってきた赤い布に機能を停止させられた。
 通過した人影の後ろ姿は、サラだった。
「サラ!」
 サラを撃ち落とすため、機銃が次々砂の中から現れた。
 しかし、サラが撒き散らした赤い布は触れるだけで機銃の機能を停止させた。
 テトのはるか先、タイプNの手前千メートルにサラは着地した。
 途端に何十丁もの機銃が砂の中から現れ、サラを取り囲んだ。
 サラの全身から無数の赤い触手が、棘のように突き出た。
 機銃の群れが吠えるように銃声と薬莢を辺りに撒き散らした。
 同時にサラは独楽のようにその場で回り出した。
 銃弾がシャワーのようにサラに降り注いだ。
 サラは回転の速度を上げ、回転する赤い球体に姿を変えた。
 銃弾の一部は弾かれて地面に落ちた。
 一部が命中したのか、赤いゴム状の破片が周囲に飛び散った。
 その飛び散ったかに見えた赤い破片が機銃に届いたとき、機銃は沈黙した。
 次の瞬間、破片が球体から一斉に飛び散った、いや、放たれた。
 赤い破片を受けて機銃が全て沈黙した。
 破片に混じって、銃弾がタイプNに向かって飛んだ。
 それはタイプNの手前で防弾ガラスに遮られて地面に落ちた。
 タイプNの表情が一瞬、変わったように見えた。
 回転をやめて、サラは走り出した。
「安心した。あんたはそこにいるんだね。影武者じゃないんだ」
 タイプNの手前、500メートルで、砂の中から飛び出したものが、サラの胸に突き刺さった。
 それは矢だった。
「ふん!」
 サラの一声で突き刺さった矢が押し出されるようにして地面に落ちた。
 次の矢がサラのお腹に刺さった。
 今度は威力があったのか、突き刺さった瞬間、サラは一歩足を引いた。
 それも、サラが力を込めると、体からポトリと落ちた。
 その次に胸に刺さった矢は、抜けなかった。
 よく見ると矢の色が違った。
 サラは手でそれを掴んで引き抜こうとした。
 力を込めた瞬間、掌の異常に気づいた。
 掌の中央に 灰色に変化した部分があった。そこ以外は普通に肌色をしていた。
 サラは矢が刺さっている胸に目を落とした。
 矢を中心に灰色に変わった皮膚が拡がっていた。
 灰色の部分を触れると、それは脆くも崩れさった。
 サラは再び走り出そうとした。その体に何本もの矢が刺さった。
 動きが止まったサラに数十本の矢が刺さった。
「そうか。これは、バクテリアか…」
 サラの動きが止まった。
「ユフ、あとは、まか、せ、…た」
 身体を砂漠の上に投げ出して、サラは倒れた。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
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UV-WARS・テト編#013「サラvsトラップ群」

構想だけは壮大な小説(もどき)の投稿を開始しました。
 シリーズ名を『UV-WARS』と言います。
 これは、「重音テト」の物語。

 他に、「初音ミク」「紫苑ヨワ」「歌幡メイジ」の物語があります。

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投稿日:2018/02/01 12:32:00

文字数:1,565文字

カテゴリ:小説

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