#6 熾天使の旋律

???「さて、自己紹介が遅れました。私、ユーテルダム教会所長のクラムレイツと申します。そしてこちらがユーテルダム総合創設者シャルザン様のご子孫…」
???「シャンランよ。今日はただの見物で来たまでなのに、まさかお客さんが来るとは思いもしなかったわ」
カナタ「僕達は星屑街から来ました調律員のカナタです」
ミク「ミクです」
クラツレイツ「噂はよく存じ上げております。この街ではかなり人気のアイドルですからね」
カナタ「因みに、この教会で何かの研究をしていると伺って来たのですが…」
クラムレイツ「ええ、この先の部屋でご説明しましょう」
そう言ってクラムレイツさんは扉を開ける。その部屋には刀のような武器やギターのような楽器、魔道具のような色々な小道具が置かれていた。


クラムレイツ「この施設ではマジカルアイテムと呼ばれる戦闘時に右手左手に持つサポート系のスキルの制作及び整備をメインに行っております。専門技術が必要になるので世界に50箇所程しか存在しない施設の内の一つですね」
シャンラン「て言うかなんで教会って設定で運営してるのよ、鍛冶屋でいいじゃない」
シャンランさんがかなりキツく睨んでいる。
クラムレイツ「いやぁ、どうにも一般の人にはお見せする訳にはいかないもんでしてとりあえず不思議を装っておこうと秘密組織っぽく…」
シャンラン「悪趣味なのよ」
クラムレイツ「まあまあシャン嬢、警備はしっかりしておきますので…」
ゴスッ
懐にしまっていた日傘でクラムレイツさんの横腹を突くシャンランさん。
クラムレイツ「グァッ!!」
シャンラン「警備ザルだったじゃないの、さっき見破られたばかりじゃない」
ミク「あ、あの…」
クラムレイツ「あっすみません、説明の途中でしたね」
カナタ「つまり、調律員としての武器を用意する鍛冶屋のような施設なんですね。結構値段かかったりしますか?」
俺達2人はデビューしてから社会人なりの懐は稼いでたので、現実味ある値段ならいくらか買えるだろう。
クラムレイツ「事前に調律員としてユーテルダム総合に登録しておけばこちらで割と安く取り揃えますよ。例えばこの弓矢なんていかがでしょう。登録者免除かければ2000円で済むのにかなりの火力、そして体力回復スキルのおまけまでついてますよ?」
ミク「消耗品ですか?何回も使えるなら使ってみたいです!!」
ミクの目が輝いてる。こーいうの憧れてたもんなぁ…
クラムレイツ「えぇ、結構長持ちしますよ?試しに、この街の防衛戦で使ってみてはいかがですかね?」
ミク「はい!!」


クラムレイツ「ではこちらにサインをお願いします。今回のマジカルノート浄化の報酬は前払い、成功すれば登録完了となります」
ミク「やったー!!キューピッド弓矢だぁ♪」
少しはしゃぐミク。
カナタ「そういえば、今回の敵の情報ありますか?」
クラムレイツ「実はマジカルノートというのは純粋に神様の信仰がある場所で封印されていると聞いています。ここは信仰がどうのという教会ではないので封印されてはいませんでしたが、そうですね… この街なら[南大馬狩大社]が怪しいですね」
カナタ「ありがとうございます」
クラムレイツ「では、ご武運を」
シャンラン「いいマジカルアイテムを手に入れたからって、無茶はするなよ」
ミク&カナタ「はい!!」
出発しようとした時、役場の方向から誰かが走ってきた。
???「大変ですー!!」
クラムレイツ「バッティ、どうした」
クラムレイツさんが対応する。
バッティ「依頼された通り南大馬狩大社に調査しに行ってたんですが、とうとう奴を見つけました!もう暴れ出してて手に負えません!調律員の方応援お願いします!!」
クラムレイツ「まだまとまった人数集まってないんですが、この2人を連れてって下さい。手続きは済ませてあります」
ミク「よし、行こう!!」


___南大馬狩大社の倉庫近くにて___

???「ゴルルル…」
この街の怪物は、まるでゲーム世界のゴーレムのような見た目だった。
町民B「助けてくれぇぇぇ!!」
町民C「こっちに避難して!抜け道もあるよ!!」
男は急いで声のする方に逃げる。
町民B「死ぬかと思った… ありがとうございます」
町民C「お礼は本当に助かってから受け取ります。早く調律員さんが来て下さるといいのですが…」
町民B「お姉さん、さっき広場でミクちゃんが情報集めで歌を披露してたのを見たぞ?確か調律員の1人だったよな?」
町民C「本当に!?あのミクちゃんが!?」
町民B「まだ可能性はある、生き延びなきゃ…」
ガッシャ-ン…
怪物が追いついた。蔵の天井を壊し、
町民C「あぁっ!!」
町民B「あの怪物野郎、追ってきたか…っ!!お姉さん、大丈夫!?」
町民C「だめだ… 挟まれてて足が動かない…」
町民B「そんな…」

_____

カナタ「ミク、あそこだ!!」
ミク「オッケー!よーく狙って…」
『マジカルスキル、ドレインボイスSP!!』
白く光る3本の矢が、ゴーレムの腕を貫く。
ゴーレム「ガァァァァ!!」
ミク「命中♪」
カナタ「ミク、襲われてる人が居る。俺が助けに行くから流れ弾寄越すなよ」
ミク「じゃ反対向いて相手すれば私の攻撃飛んでこないね?了解★」
誰であろうと、目の前で死なせはしない!!


町民B「…今のは?」
カナタ「助けに来ました、今の攻撃は僕の相方のスキルです」
町民C「良かった…」
町民B「君、この人が足挟まれてるんだ、手伝ってくれ!」
カナタ「分かりました」
そして、石をどかし足が抜けた。
町民C「君、確かカナタ君だったよね?君達は調律員になったって聞きました」
カナタ「正確には、僕は彼女の助手です。何せ僕には歌唱力が欠片も無いんで」
町民C「そうですか… 素敵な彼女さんね」
カナタ「そんなんじゃ無いですよ」
町民C「でも魅力的じゃない?あの衣装は初めて見たけど、戦いの天使みたいな姿」
………
カナタ「天使…ねぇ。」
町民C「この街でミクちゃんの事を天使って呼ぶファンの人が多くて人気なのよ。戦ってるとまさに[熾天使]って感じ。私達も頑張ろうって思っちゃうのよ」
カナタ「…本当に正体が熾天使だったりしてな」
______

マジカルアイテムも使えば前より楽に戦える。カードスキルって奴も使ってみよう!
ミク「カードスキル!緑の歌声M!!」
すると、ぶつけた歌がゴーレムの装甲にヒビを入れた。
ミク「固定ダメージかぁ、これならいける!!もう1回…」
『ドレインボイスSP!!』
ゴーレム「グ…ゴァァァァァァァ!!!」


………
ミク「終わったぁ…」
ドサッ…
カナタ「お疲れ」
カナタが、疲れて倒れる私の体を支えてくれた。
カナタ「立てない位しんどいならライブは明日にしよう。今日はミクのお疲れ様パーティーだ」
ミク「ん?パーティー?」
カナタは左腕を振り上げ、指を鳴らす。すると、避難してたはずの沢山の街の人が走ってきた。
町民C「ミクちゃんありがとう!!」
町民B「凄いバトルだった!!」
町民D「その衣装可愛い~!!」
町民A「パーティー会場おさえてといた、今夜は楽しもう!!」
町民E「野菜ジュース持ってきたよ~!!」
ついさっきまで戦場だった南大馬狩神社に一瞬で街の人が沢山集まった。
カナタ「俺が避難させてた人達がどうしてもって言うんで断れなかったよ」
ミク「頑張った甲斐があったなぁ…」
そのまま、カナタの腕の中でコロンと寝てしまった。
クラムレイツ「カナタ様、少し宜しいですか?」
クラムレイツさんが人混みを分けて話しに来た。
カナタ「というか、他の怪物居ませんでしたね。クラムレイツさんが仕留めたんですか?」
クラムレイツ「ボスキャラ以外なら太刀打ち出来そうでしたので、シャンラン嬢の手を借りましてやっと討伐出来ました。ミク様はどこかで少し休ませて、軽く書類を書いて頂けますか?本部に連絡する際必要なので」
カナタ「本部…というと?」
クラムレイツ「実は我々ユーテルダム総合はGARAKUTA projectの参加組織なんですよ。その本部は、君達がよく通ってたヤマハのスタジオ裏にあるんです」
カナタ「え!?あそこ本部だったんだ… 分かりました、パーティーまでに終わる量でしたら」
クラムレイツ「では…」
クラムレイツさんやシャンランさんも戦えたのには驚いたが、ホッとした。


ミク『皆~、昨日はありがとう!パーティー楽しかったよ~!!
今日は約束通り、マジカルノートを元に戻しながら、ライブで皆を元気にしてあげるね!!』
観客「「「ウオオオオオオオオオ!!」」」
思いつきで始めたのに結構人が集まった。この街には本当にファンが沢山いるんだなぁ…
ミク『それじゃあ一曲目、...』

___本当に私が天使だったら、大事な人達をあんなに傷つけてまでアイドルやってないよ。___

___傷つけてなんかないだろ!お前は何も悪くない!!あの時だって…ッ!!___

___…そういう風に励ましてくれる人なんてカナタだけだよ。___

___んな訳ないだろ…___

ミク『皆~!今日は聴いてくれてありがとう!!』
カナタ「疲れた…」


観客「ミーク!!ミーク!!」
カナタ「またやるのか…
ん?あの人は…」
観客「「「ミーク!!ミーク!!ミーク!!ミーク!!」」」
カナタ「…もう見えねぇ。おいミク、最後やるぞ!」
ミク『よーし!もう一曲やっちゃおう、大サービスだよ!?』
観客「「「ウオオオオオオオオオオオオ!!!」」」


カナタ「疲れた~…」
ミク「皆の歓声凄かったね~。ペンライト綺麗だったな~」

言うべきなのか。嘘と思われるかもしれない、そんなつまらない理由で傷つけたくは無いが…

カナタ「おい、ミク…」

ミク「…お母さん?」

既に手遅れだった。アンプに繋げてあるギターを放っておいて走り出すミク。
ミク「待って!!」

カナタ「落ち着け、こんな所におばさんが居る訳無いだろ!?」
必死で追いかけるが、ミクの全力に追いつける筈がない。
ミク「お母さん待って!!なんで居なくなるの!?」
(あれは本当におばさんなのか?ミクを置いて星屑街から姿消したのに今更ミクのライブ見に来たとでも言うのか!?何か色々引っかかる…)
カナタ「まずい、踏切…」
ようやく追いついたが、既にミクは踏切をくぐり走り続ける。このままではひかれてしまう…

???『マジカルアビリティ、幻惑のルビー!!』

シュゥゥゥゥゥ…
(幻術?もろに食らってしまったが…)

???「…よく見つけたわね。」

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

【ミクコレ★歌声の秘密】第6話「熾天使の旋律」

皆さんおはこんばんにちは、@okkyのミクコレ実況チャンネルです!
Pixivよりミクコレ二次創作小説第6話を転載しました
今後も応援_|\○_オネガイシヤァァァァァス!!

閲覧数:54

投稿日:2018/03/08 17:30:30

文字数:4,372文字

カテゴリ:小説

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