「はい!これプレゼント!」

二つの箱がオレらの前に差し出された。オレの箱には黄色い包装紙とオレンジのリボンが、リンの箱にはオレンジの包装紙に黄色いリボンがかかっている。

「これ…何ですか?マスター」

隣のリンが小さく首を傾げる。ちょうどオレも疑問に思っていた。

「今日は二人の誕生日でしょ?だから、モジュール買ったのよ!」

あぁ、そういやそうだったっけか。去年のこの日、オレたちはこの家に来て、マスターに出会った。すっかりこのことを忘れていたのは、日付よりもマスターのコーラ乱が強く印象に残ったからだ。

ふふふ、と楽しそうに笑うマスターはチューリップが咲くような笑顔で言った。

「誕生日おめでとう、リン、レン」

オレとリンは顔を見合わせ、目の前のマスターに向かい、笑顔で言う。

「「ありがとう、マスター!大好き!!」」

マスターは満足そうに笑った。



「マスター、開けてもいいですか?」

慌ただしくリボンを取り、包装紙をガサゴソと剥がす。箱を開けると、そこには綺麗に折りたたまれたモジュールがあった。隣のリンを見る

と、わなわなと手を震わせ、瞳を輝かせている。

「わぁ!!これ、私が欲しかったメイドのモジュール!」

「これ、オレが欲しかったシャツとベスト!」

「ふふふ、喜んでもらえた?」

観察力の鋭いマスターはオレらの欲しいものなんてすぐ見抜けたんだろう。おやつは買ってきてくれないけど。

去年のこの日はマスターが酔って大変だったけど、今年はプレゼントまで貰えた。それに、マスターがこの日を覚えていてくれたのが嬉し

い。

オレらのマスターは、実はオレらのことをよく見ていてくれる、いい人だ。


「よし、じゃあ誕生日パーティーってことでコーラでも飲むかぁ!!」

「「うぇ」」

思わずハモってしまい、じろりとマスターが睨む。一年経った今でもこの目には勝てない。

「何か文句でもあるのぉ?だったらモジュール返しなさい」

「「いいえ、なんでもございません!マスター!」」

「うむ、ならよし」

満足そうに頷き、部屋から出て行くマスター。コーラを取りに行ったのだろう。

今夜は大変なことになりそうだ。

「はぁ……」

二人同時に溜息を付き、顔を見合わせて、笑った。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

DTM! ―EP8―

今日は鏡音の誕生日なのでレン君目線でメイコ家の12月27日を書きました。
急いで書いたのですごく短いです。

鏡音お誕生日おめでとう!

閲覧数:283

投稿日:2013/07/19 22:53:50

文字数:957文字

カテゴリ:小説

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