狂俳の我が性をも飼い慣らせど 残響 詩歌が消えぬ
狷介の我が心も皮を剥げば 餓ゑた獣

紅き霧の中に見えた 人の子の誠に触れて
言の葉を紡いだ 疾く疾く失せよ

満たされぬ腹が血を流す胸が叫ぶ 朧月を駆る朋友の眼ぞ刺さる
血濡れた爪牙に絡む肉叢の悲鳴も無く 紅霧の中に慟哭は未だ止まず


暁角を留め伏せよ 秋風の残響 未だ消えぬ
怯懦こそは人の病 成り果てし ただ獣

紅き月の下に吠えた 人の子の骸を抱いて
浅ましき食欲 咽び泣く侭

満たされぬ餓ゑに理性は靡いて渇く 酔いを晴らせども悔いを指折りて数う
はかなく重ねし倨傲の月日は戻り得ぬ ぬばたまの闇に咆哮ばかりが聞こゆ 嗚呼


願いを喰らった 望みを喰らった全て
欲望のままに 絶望のままに 詠う
背けた眼へ突き刺さる罪と絶える息 紅霧の中に獣は未だ孤独

満たされぬ腹に朋友の臓腑を喰らう 朧月の夜に弔ひの詩歌を捧ぐ
血濡れた爪牙に落つる涙さえ 獣よ 紅霧の中に我が悲鳴は未だ止まず

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・よみ

きょうはいのわが(※1)さがをも かい(※1)ならせど ざんきょう うたがきえぬ
けんかいのわが(※1)こころも かわ(※1)をはげば うえたけもの

あかききりのなかにみえた ひ(※2)とのこのまことにふれて
ことのはをつむいだ と(※2)くとくうせよ

みたされぬはらがちをながすむねがさけぶ おぼろつきをかるともがらのまなぞささる
ちぬれたそうがにからむししむらのこえもなく あかぎりのなかにどうこくはいまだやまず


ぎょうかくをとめふせよ あきかぜのざんきょう いまだきえぬ
きょうだこそはひと(※1)のやまい なりはてし ただけだもの

あかきつきのしたにほえた ひ(※2)とのこのむくろをだいて
あさましきほんのう む(※2)せびなくまま

みたされぬうえにりせいはなびいてかわく よいをはらせどもくいをゆびおりてかぞう
はかなくかさねしきょごうのつきひはもどりえぬ ぬばたまのやみにほうこうばかりがきこゆ ああ(※3)


ねがいをくらった のぞみをくらったすべて
よくぼうのままに ぜつぼうのままに うたう
そむけたまなこへつきささるつみとたえるいき あかぎりのなかにけだものはいまだひとり

みたされぬはらにともがらのわたをくらう おぼろつきのよにとぶらいのうたをささぐ
ちぬれたそうがにおつるなみださえ けだものよ あかぎりのなかにわがこえはいまだやまず ああ(※4)



(※1)2分音符を付点4分音符+8分に分割する。『らーららーららー』を『らーたららーららー』みたいな。
(※2)一つ前の休符を喰う感じで。『らーららーら らららららららー』を『(た)らーららーら らららららららー』
(※3)シャウト。人間の悲鳴イメージ。「ああああああああ」みたいなイメージ。
(※4)シャウト。だいぶ動物っぽくなってきました感を入れて揺らぎ。「うあぅああぅああぅああぅああ」みたいなイメージ。

この作品にはライセンスが付与されていません。この作品を複製・頒布したいときは、作者に連絡して許諾を得て下さい。

十字の咎

その声は、我が友、ルーミアではないか? →いかにもそーなのだー。
だんだんおなじみとなってきた、チルドPさん(http://www.nicovideo.jp/mylist/41710790)の東方アレンジへの歌詞です。


色々と経緯があってこんな具合に仕上がった歌詞です。
読みの注釈は、チルドPさんへファイルを渡したときの注釈そのままです。何かの記念にと。


第一稿はこんな感じでした↓

迷い子の嘆くよう伸ばす手が散らす 命(はな)を一つ
愛し此の長き夜を乱す手は知らず震え

白く血も失せた亡骸 牙を立て貪り喰らう
浅ましき食欲 咽び泣くまま

満たされぬ腹が血を流す胸が叫ぶ 朧夜に浮かぶ月の目を隠すように
背けた眼へ突き刺さる罪の絶える息 紅霧の中に溶けて消え逝くは心


闇の子は夢を見た 企ては破れ 命(はな)は絶えて
愛し子の眼差しも今はただ遠く 遠く

腐り朽ち果てた亡骸 祈る言葉知らぬままに
浅ましき食欲 屍を積んだ

満たされぬ飢えに理性は靡いて渇く 霞む夜の夢に爪痕を刻み嗤う
背けた眼へ突き刺さる罪の絶える息 紅霧の中に温度は薄れて滲む


願いを喰らった 望みを喰らった全て
欲望のままに 絶望のままに 浮かぶ
背けた眼へ突き刺さる罪の絶える息
紅霧の中に獣は未だ孤独

途中までになっているのは、音源のデモ版に対して作ったからです。
が、完成版を聞いてみたところ、デモ版からクオリティが一気に上がっていて、「ああこれじゃ歌詞が完全に負けてるわチクショウ」と思って書き直した次第です。

個人的にルーミアは、馬鹿と呼ばれてるキャラの中では考え込む方というか、思い悩むことができるタイプなんじゃないかと感じてます。
人を食う+思い悩む+和風楽曲というところから「浅ましき食欲(ほんのう)」のフレーズを残していたら、ふと山月記が出てきてこんな具合に。

尚、2サビとラスサビの後のハイトーンシャウトは、音源には無かったのを私がわがまま言って付け足してもらいました。無茶言ってごめんなさいありがとうございました。

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投稿日:2016/11/17 01:24:16

文字数:1,286文字

カテゴリ:歌詞

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