(痛い 痛い 痛い)


じくじく熱を持って痛む疣を膿をえぐり落としてみたら
嫌味な疼きは鋭くさっぱり消え去った
「ああ、なんだ簡単なことだった」
痛む患部を 蒸れた傷口を 潜り込んだトゲを
「きりおとせばいいんだ」

(痛い 痛い 痛い)

その日から僕は
打ちすえられて痛む右手を
冷たく固まった爪先を
縺れてつっぱる黒髪を
次々切り落とした

(いたい いたい いたい)

だけどなんでかな
まだ痛いんだ
患部の曖昧な致命傷
「こころってドコにあるの?」
「それってだいじなものなの?」
ひとは答えてくれなくて
僕は未だにその場所を知らない

(いたい いたい いたい)

だから
残りの耳を鼻を舌を削ぎ落して
両足を右腕を指先から切り落として
奥歯を両目をえぐり捨ててみたけれど
こころはそこにはなかったようで
腫瘍はそこにもなかったようで
それどころか痛みはますますひどくなる一方で
前にもましてくるしい

(イタイイタイイタイ)

もうなにも見えない
もうなにも言えない

(イタイイタイイタイ)

こんなに探しても見つからないなんて
この痛みの原因はいったいナニ?
どうしたらいい?
どうすればいい?
霞がかった思考回路は閃いた

(痛い いたいよ イタイイタイ)

それはとっても良い考えに思えた
最高の思いつきに思えた
僕は朦朧と頭を切り落とした
そうだ、はじめからこうすればよかったんだ

(痛い イタイイタイイタイイタく、ない)


痛みは白い靄のなかでやっと途絶えました――

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
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  • オリジナルライセンス

バイバイ。(仮)

バイバイ、苦痛。バイバイ、世界。


【ご利用は計画的に】

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投稿日:2014/08/29 11:47:57

文字数:649文字

カテゴリ:歌詞

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