ジャケット

百年の孤独に 栞を挟む
ひとりならこんなに 孤独じゃないよ
ガルシア・マルケス あなたの言葉が
いまは両目を 滑ってゆく

ドライヤー 君が 持って帰ったし
ベランダの風で 髪を乾かし
そういや月を 見ないようにしてる
こっからふたりで 見てたから

イエスタデイに繋いだ イヤホン
今日が昨日に なる音を聴こう
ポール・マッカートニー あなたのギターが
いまは鼓膜を 滑ってゆく

自転車は君が 乗って帰るし
ナイキの白で 夜を踏み荒らし
そういや桜を 見ないようにしてる
君はピンクが 好きだから

『未知との遭遇』を リモコンで止める
両手ですくった 過去を眺める
スティーヴン・スピルバーグ あなたの光が
いまは液晶を 滑ってゆく

水槽 君が 割って帰ったし
ロート製薬で 両目を潤し
そういやアルバムを 見ないようにしてる
あのころみたいに 笑えないから

もしもし、久しぶり、元気だった?いまどこにいるの?つかれてない?風邪ひいてない?ごはんちゃんとたべてる?ちゃんと寝てる?そういえば、好きな人とはうまくいってる?ああ、僕は、全然変わりないよ、ってか僕だけ全然変わんないんだよって、ひとり風呂場でつぶやいてみる


君は僕から 君を奪った
返せ君は僕に 君を返せ
君のいない世界では すべてがゴミに見えるんだよ
本も音映画も 君がゴミに変えた
君がすべてをマシに 見せてくれた
本当のことを言うと ドライヤーも自転車も
水槽もいらない とにかく君を返してくれないかな
あとはふたりで話し合うから
こんな かっこ わるい こと ばっか 書か せんなよ
って 書いたメールは未送信ボックスで眠ってる

あれ?いま何時?
あれ?いま何時?
あれ?いま何時?


夕日はとっくに沈んだっていうのにPARCOのむこうがなんだか夕暮れで
見とれていたらどんどんこっちに近づいてくんの
ちいさな夕日がどんどん近づいてくんの
んで、それよく見たら大きな馬でさ、大きな馬が燃えて、燃えながら走ってんの
苦しそうでも、痛そうでもなく、凛とした顔でさ
燃えながら、いつのまにか僕の前にいてさ、あっつって思ったけどさ
乗りなって、乗って行きなっていうから、どこに行くのか
自分がどこに行きたいのかもわからなかったけど、乗ったよ
ってことで、もうすぐ、さようならみたいです
燃える僕は燃え尽き、燃える馬は燃え尽きず、また次の町へと走って行くみたいです
それでは、みなさん、さようなら、さようなら、さようなら

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ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

ドライヤーと自転車と水槽

閲覧数:29

投稿日:2018/04/13 20:55:14

長さ:03:20

ファイルサイズ:7.6MB

カテゴリ:音素材

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