そうしていると、ライブ開始の時刻がやってきた。バンドが音楽を演奏し初め、一気に盛り上がる客席。会場が緑色のペンライト一色になり、さながらネギ畑のようである。
『ミーク、ミーク、ミーク…』
観客からミクコールが始まる。雅彦もそれに合わせてミクの名を呼ぶ。しばらくすると、ステージ中央にライトが集中する。その先にはワンオフのミクがいた。衣装は今回のバースデーライブ用にデザインされた衣装である。
『ミーク!ミーク!ミーク!…』
コールがよりいっそう大きく、ペンライトの降りもより力強くなる客席。一気にボルテージが上がる。その歓声を受けて、ミクの口から曲が紡ぎ出される。雅彦は曲に合わせてペンライトを振り始めた。雅彦が要人席の最前列中央にいるのは、雅彦が自身の立場を濫用したわけではなく、ペンライトを振ったり合いの手を入れたい要人向けに、どうすれば良いかを誘導するお手本になるという役目がある。この席なら他の要人が雅彦の視界に入れながらステージを見ることが比較的容易という理由が雅彦の席が決まった一因である。当然、雅彦にかかる責任は重大で、さらに最初の公演の場合、どの曲が流れるか不明ではあるが、曲が流れ始めた時点でメロディで検索をかけ、膨大な曲の中から該当曲を割り出し、今度はその曲に関するデータを頭脳にインプットする。それをほぼ一瞬で完了させているので、例え知らない曲でも、ワンオフのミクが歌い始める前に準備が完了できる仕組みである。データの中にはペンライトの振り方や合いの手の情報も入っている。そのデータを基本にするが、観客の状況も同時に注視して、データと異なる場合は臨機応変に対処している。雅彦が持っているペンライトは一本だけである。一本なのは、要人の持つペンライトの本数が不明なので、一番少ない一本にしているのだ。一本であれば色にせよ動きにせよ比較的単純なので、誘導を受ける側もやりやすい。もっとも、要人にもミク拝は多いので、雅彦に頼らずに何本もペンライトを振っている強者の要人もいる。また、席に関しては、何もせずに座ってライブを楽しみたい要人にも配慮はされている。
そうしていると、一曲目が終わった。
「みっなさーんー、こーんばーんわー」
『こーんばーんわー』
ワンオフのミクの言葉に返事をする観客。
「初音ミク、です♪」
その言葉に歓声が上がる。
「今日は、私のバースデーライブ、来てくれて、ありがとー」
笑顔で話すワンオフのミクに、やはり歓声で返す観客。
「今日は、最後まで楽しんで下さいね♪」
再度歓声が上がる。そして次の曲が始まった。
「すげー盛り上がってるな」
「そうね」
その盛り上がっているステージを次に曲を歌うワンオフのリンとレンが見ていた。衣装は曲に合わせた衣装にチェンジしている。
「…二人とも、まさか緊張してないわよね?」
ワンオフのMEIKOが心配そうに聞く。
「…めー姉、ライブもう何回目だよ?」
「そうよ、緊張で失敗なんかしないんだから」
呆れたように言うワンオフのレンと胸を張るワンオフのリン。
「めーちゃんは心配性なんだから」
のほほんとした感じで話すワンオフのKAITO。
「…実を言えば、KAITOが一番心配ね」
「えー」
ワンオフのMEIKOの言葉にがっくりくるワンオフのKAITO。そんな一行を微笑ましそうに見つめるワンオフのルカ。こうやって軽口をたたくのは、緊張をほぐすためのもので、そうやって過度な緊張をしないようにして出番を待っているのだ。
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