「MEIKOさん、KAITOさん」
キッチンのテーブルで談笑していた二人に、雅彦が話しかける。
「あら、雅彦君、どうしたの?」
「少しお二人に相談したいことがあるのですが…」
さっと視線を交わす二人。
「…分かったわ」
そういって、席を勧めるMEIKO。その席に雅彦が座る。
「それで、相談って何だい?」
KAITOが切り出す。
「昨日、ライブスタッフの木戸さんから伝言を預かったミクから話を聞きました。木戸さんは、自分の恋人と話をして欲しいといったそうです」
(ミクと木戸君…、ひょっとして、雅彦君の相談と関係あるのかな?)
KAITOがライブの打ち上げの時のことを思い出しながら考える。
「ああ、木戸君ね。その恋人と雅彦君が相談?」
「はい、なんでも、僕とアンドロイドの体を持つ人類全てのための話をしたい、ということでした」
「…雅彦君、ひょっとして、そのことが雅彦君が家に帰ってから深夜に研究していることと関係があるんじゃ無いかな?」
「そのことをMEIKOさんからお聞きになりましたか?」
少し驚く雅彦。
「うん、僕たちも雅彦君に何か協力できないか考えていた矢先にあんなことが起こったけど…」
「それで、ピンときたのね?」
「はい、木戸さんの恋人は高井さんという名前らしいですが、その言葉に興味を惹かれました」
「それで、高井さんに連絡したの?」
「はい、ミクから高井さんの連絡先をもらったのは、ライブの打ち上げのあと、みなさんが帰って来られたあとで、連絡を取るには時間が遅かったので、日を改めて、つい先程連絡しました」
「それで、高井さんは何ていっていたの?」
「はい、現在、僕を含めたアンドロイドの体を持つ人間の社会的地位は決して高くなく、高井さんはどうやらグループでアンドロイドの体を持つ人間の社会的地位の向上させるための研究を行っているそうです」
雅彦の言葉を聞いて、しばらく考える二人。
「アンドロイドの体を持つ人間の社会的地位の向上のための研究ね。…詳細は聞かないと分からないけど、雅彦君が今やっている、アンドロイドの体を持つメリットに関する研究と重なる部分はあるかもしれないわね」
「で、高井さんがきっと安田君と接触したい、といってきたんじゃ無いかい?」
「そうです、現状打破のために高井さんと協力してくれないか、という提案を受けました」
「で、雅彦君はどう答えたの?」
「その時は、判断をいったん留保しました。ただ、高井さんからは、決断は早いほうが良いといわれました。高井さん曰く、準備は万端らしいです」
「…僕には、高井さんが初めから雅彦君と接触する気で接近してきたように見えるね。高井さん側の準備が万端なら、雅彦君はすぐに会って高井さんと会って話を聞いたほうが良い結果になると思うけど…」
「そうね、高井さんはどの様な研究をやっているか次第だけど、雅彦君と高井さんの研究の方向性が合致するなら、協力したほうが良いわ。高井さんがグループで研究をしているなら、雅彦君の研究のスピードアップにも繋がるでしょうし。雅彦君にメリットしか無い話に聞こえるけど。雅彦君なら、きっと私たちに相談しなくても、高井さんの話を聞く決断はできたと思うけど、どうして私たちに相談を?」
疑問を口にするMEIKO。
「その…、怖いんです」
『怖い?』
「はい、僕がアンドロイドの体を持ったために、世界は変わってしまいました。今回も僕が高井さんと協力することで、それと似たようなことが起こる気がして。…僕の杞憂かもしれませんが」
雅彦の言葉に、しばらく考える二人。
「大丈夫よ、話を聞く段階なら、まだ引き返せるわ。話を聞かないで断るより、そっちのほうが良いわ」
「そうだね。高井さんから話を聞いて、情報を揃えてから判断したほうが良いと思うよ。雅彦君ならしっかりと判断できるだろうから」
「そうですか…、分かりました、それなら、高井さんの話を聞いてから判断します」
そういって、高井と連絡を取ることにした雅彦だった。
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