ハリボテハート　ぼくのこころツギハギだらけ
中身もない言葉で　自分を見失いそうになって
また　針と糸で縫い合わせましょう
ぼくが消えないように　言の葉をつめこんで

「お話ししましょうか」　かけられた声にすら
怯えて　縫い目がほつれてしまいそうで　悲しくて
「君にはどう見える？」　聞こえない声出して
ツギハギのこころ　見せびらかす

大切にしまい込んだ言葉　ただの宝の持ち腐れ
縫い目ほどいて外に出さなけりゃ　伝わることもないのに
「どうか察しておくれ　あなた」　押しつけがましい頼みをして
こころを糸で締め付けて　誰にも分からない言葉
ぼくはなんて言ったんだっけ

口に出る言葉全部　加工済みのリップノイズ
外身の輝く言葉で　自分を見つけ出せ
こうして増える縫い目が　ぼくの本心を覆いつくすの
行方不明のこころ　言の葉が取り出せない

「お話ししませんか？」　かける声ぼやけてく
いつまでツギハギをさらし続ければ良いんだろう
「いいですね、しましょうか」　答えられた声にすら
ハリボテのこころ　向き合えないよ

口を開いて飛び出す言葉　脳内変換がお上手で
伝えたいこと確認してみりゃ　誤変換のオンパレード
「どうか察しておくれ　あなた」　無理難題の答えを期待して
変換器の修理を試みて　誰にも分からない暗号
僕はなんて言おうとしたっけな

伝わらない悲しみも　伝えられない苛立ちも
まとめてこころに放り込んで　なにもなかったんだって
破れたこころも　壊れた言葉も
そうしたかった訳じゃないのにさ

「ここらでやめようか」　自問自答　今一度
言いたいことも言えない窮屈さに　こころを失って
「もういいだろ、ハリボテは」　何度目の期待だろう
縫い目をほどいて　本当の言葉を　伝わるだろうか

大切にしまい込んだ言葉　あなたのための宝物
伝えたいこと　伝えたいままに　「お話できてよかった」
いつか願っていたことさ　ハリボテハートをぶち壊して
解放されただろうか　こころはちぐはぐ模様
口を開いて飛び出す言葉　そのまま飛び出してしまえ
伝えたいこと　伝えるために　ツギハギを破り捨てろ
「どうか察しておくれ　ぼくは」　かすりきった声をかき集めて
こころの糸を切り取って　うまくいくか分からないけれど
ぼくのこころ　ぼやかさぬように、隠さぬように、話し合えるように

難しいもんだ

「お話、しましょうか」