家に戻ってきたリンとレンは、すぐにミクの部屋に向かった。ノックするレン。少し間が空いて、ミクの声が聞こえた。
「どうぞ」
ミクの部屋の中に入る二人。
「ミク姉、ちょっと聞いて良い?」
「良いわよ」
「この前、マサ兄の病室で、ライブに対する決意をいったけど、あれは本心でいったの?」
「レン、どうしてそんなことを聞くの?」
不思議そうに聞くミク。
「さっきマサ兄のお見舞いに行った時、ミク姉の性格だと、みんなを安心させるためにあんな感じでいったんじゃ無いかってマサ兄がいってたんだ」
雅彦がいっていた心配をそのまま伝えるレン。
「…雅彦さんらしい考え方ね」
「あれは本心だったの?」
「もちろんよ。リン、レン。もし、この状況で、ライブで何か問題があったら、きっと雅彦さんは自分のせいだって思うわよ。雅彦さんならそう考えるのは、リンもレンも予想がつくでしょ?」
「まあ、確かに…」
ボーカロイドの家族と同じ位、雅彦のことを知悉しているレンが頷く。
「そうならないためには、私が頑張らないといけないと思ってるの。だから、雅彦さんのことでずっと悲しんでなんかいられないわ。だから、大丈夫よ。そして、ライブが終わったら、雅彦さんに甘えに行くの。今はそれが楽しみね」
その言葉に、最近のミクを振り返るレン。確かに、家ではもちろん、ライブの練習会場でもいつものライブの時と変わらないパフォーマンスを見せていることを考えれば、ミクの決意は本気だったと考えても良いのかもしれない。
「…分かった。ミク姉、マサ兄が心配し過ぎているだけみたいだね」
「でも、雅彦さんらしいな」
微笑むミク。その笑顔に、釣られて笑顔になるレン。
「そうだね。それじゃ、ごめん」
そういってミクの部屋から出る二人だった。
「リン、ミク姉大丈夫みたいだね」
「…」
「…リン、どうしたんだよ?」
「私の勘違いかもしれないけど、ミク姉、目が充血していた気がする」
「目が?」
「うん、レンは気がつかなかった?」
そういわれ、ミクの様子を思い出すレン。
「…うーん、マサ兄に頼まれたことを確認することに夢中だったから、気が付かなかったな。ミク姉、ひょっとして寝てないのかな?」
「睡眠不足で目が充血することはあると思うの。だから、そのせいかも…」
「マサ兄に会うのはライブ後で良いっていわれたのが不満だったら、マサ兄のことを思い出して寂しくて眠れないのかな。でも、ここ最近、あくびが多いとか、動作が緩慢だとか、そういう寝不足っぽい所はなかった気がするけど…」
最近のミクの様子を思い出しながら、考えるレン。
「ミク姉の様子は注意して見ておく必要があると思うわ」
「…かもしれねえな」
そういいながら、何か飲むためにキッチンへ向かう二人だった。
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悲しみについてずっと考えてた
君の涙の理由(わけ)を聞いて
上手く言葉返せなくて
君を思う気持ちだけが
空回りしていて
もどかしくて空を見た
どんなに心に悲しみが溢れてても
それが不幸なこととは限らないと思うんだ
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ふみふみ
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