【蒼姫ラピス】荷電性モラトリアム【オリジナル】＿2012/10/12

揺蕩う風が取り巻いて
何が僕を殺すの
鏡の中不恰好なラテラリティ
欲しがった目を曇らせる
事実はいま裏を掻いて
不謹慎なまで止まない致死量の雨

身勝手に棲みつく錆は少し
人と人の綻びに似て
小説のような濃密な顛末に
このままじゃどうも逆上せてしまいそう

窓の無い廃ビルから見た俯瞰図
割れたガラスに映り込む
それだけが全部で
この排ガスがやたら鼻につく

傾いたら振り出しで
感傷的に嘯く声に
都心は麻痺して
酷く倦怠を患う

濡れた唇で移し合う
心無いままの僕らは
何を頼りにまた向かい合えばいいの

安寧も情緒も見えない顔の
目一杯はどうにも痛々しいね
「大体あんたって天邪鬼」
そう言って今日も
どこかに溶けて消える

灰色のマフラーに埋まった口元
吐息に白む景色を
ただ見つめていたいと

日和る声色に見え隠れしていた

揺蕩う風が取り巻いて
何が僕を殺すの
鏡の中不恰好なラテラリティ
欲しがった目を曇らせる
事実は今裏を掻いて
惜しげも無く何故
僕の前に居るんだろう

指輪の無い大人だとか
忘れた場所だとか
前髪なんて気にして歩いては
ぶつかってばかりで
抜け落ちた羽根じゃもう
ワダツミのトリにはなれない

やがて制御を失い
落ちたドメインの外が
この歪な形じゃあ愛せない
濡れた唇で移し合う
心無いままな僕らの
待ち惚けの肩に
止まぬ致死量リルララ

ノバゼンブラの咲き終わりは
見えない見てない見せないで
嘘も柵も悪戯じゃないと知った
撓む心打ち明けて
今また煙に散らせば
連れ去ってみせて
荷電性モラトリアム