ひらり　踊る薄衣　笑う影達　穏やかな光射す午後に
ふっ　と目を遣ればほら　窺う視線　横並び始まる戯れ

勝ったら嬉しやあの子をください
負けたら悔しや花いちもんめ
あの子じゃ判らん嘯く口元
歪む其れも　美し

嗚呼　貴方が欲しいと蹴り上げた花弁
駆け出す想いと捕えられたこの両の手
じゃんけんせずとも惚れたら負け戦
どの娘が欲しいか貴方次第　花いちもんめ


ひらり　舞い踊る風　優しい木陰　上辺の笑顔集う広場
わっ　と上がる歓声　空しく響く　抜け駆けを許さぬ戯れ

勝ったら嬉しやあの子をください
負けたら悔しや花いちもんめ
相談しましょと腹の探り合い
白々しく　「決まった」

嗚呼　貴方が欲しいと蹴り上げた花弁
悔しや恋しや唯一つ勝てないまま
貴方が招くは何れかの名前か
固唾を飲み込み耳を澄ましている


品定めの　細めた目と　綺麗な指　蠢く先
どれにするか　これにするか　天神様の　仰せのまま


貴方が欲しいと恋焦がれた日々よ
儚く愛しく心満たされた日々よ
零れた清水は返らず濁るだけ
賽は空へ

貴方が欲しいと何度も呼んでいる
一つまた一つ離れる掌
何番目ならば愛してくれますか
ひたすらに只待ち続けている　花いちもんめ