「次の獲物は?」
 背中に背負った無数のネギから一本を取り出し、ミクはそれをぶんぶん振り回す。
 タクミはそれを横目にしながら、地図を開き、次に狩る妖魔を探していた。
 いた! この路地を抜けた先にやつはいる。
「すぐ近くだ。準備は良いか?」
「任せてよ!」
 タクミとミクは連携をとりながら、路地を飛び出す。
 そこには気を失った女性と、黒い人影がうごめいていた。
 妖魔はこちらに気づき、黒い腕を伸ばしてくる。
「破ッ」
 タクミは気合とともに印を組んだ。
 突如地面が光だして、三本の糸に収束する。
 光の糸は意思を持ったかのように動き出して、妖魔黒い腕を空中に固定した。
「低級ね」
 ミクはひとっとびで妖魔の背後に回り込んだ。
 妖魔の動揺。
 そして――
「クリーニング!」
 ミクの持っているネギが光り輝く。
 それを大振りに妖魔へ叩き落した。
「!?」
 妖魔は思考が追いつかないようで、
「ぎゃあああああああああああ」
 断末魔をあげながら、消滅していった。
「あっけないね」
 浄化された妖魔はネギに吸収されて行く。
 それを、
「いただきます!」
 ミクは緑の部分から一気に食べて行く。
 ネギはあっという間に彼女の胃袋に消え去っていた。
 ネギをそのまま食うなよ。それ、火を通してないんだぞ。
「ん? タクミも食べる?」
「いらねーよ」
 体験版のミクは三十九日間までに妖魔のエネルギーを取り入れないと機能が止まってしまう。
 ミクは妖魔を食らう妖怪らしい。
「今日の仕事はこれで終わりね」
「あとはこの女性を」
「ダメ」
 ミクのジト目にタクミは頭を垂れた。
 一つ仕事を終えたタクミとミクたちは、現場を後にして、街の闇に消えた。
                                     END

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

退魔師ミク

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閲覧数:85

投稿日:2017/08/18 20:26:42

文字数:769文字

カテゴリ:小説

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