一陣の風が吹き抜けてゆく
散りかけの梢を揺らして

ただ一つ変わらない空の下
僕はあの日と同じように佇んでいます

いくつもの季節が来ては過ぎゆく中で
この町もいつの間にか変わっていました
早すぎる流れに乗れず 一人残された僕は
あの小さな丘の上 葉桜を見上げています

ねえ 君はどうしているんだい?
僕とよく似ていた君だから
遠く離れた街の中で ただ一人風に吹かれ
帰る場所もなく彷徨っているんじゃないだろうか

ここにいるよ

たとえだれも君のささやかな歌に
聞こえる素振りすら見せなくても
僕は いつでもいつまでも聴いているから

暖かな春の日差しが全てを照らす昼下がり
吹く風についてゆけず散り残った桜の下で
僕はそっと一人 同じ歌を歌います


どうして人は忘れるのだろう
大切だったはずのものさえも

どうして人は歩いていけるのだろう
失ったものを気にすることもなく

めまぐるしく移り変わる世界の中で
あらゆるものが現れては消えてゆく
波に飲まれて流し去られた「期限切れ」のもの達が
時の流れに残された一本桜の下に集まってきます

ねえ 君は忘れたりしないよね?
あのころ語った歌や夢や物語
すべてが「時代遅れ」と 置き去りにされた今も
僕の中には色あせぬまま思い出とともに息づいています

ここにいるよ

たとえ行きかう人々の群れに
気づかれもせず全てが踏まれ埋もれても
僕は みんないつまでも覚えているから

穏やかな春の空が全てを包む昼下がり
もう見る人のない葉だけが目立つ桜の下で
僕はそっと一人 あの日を思い返します


いくつもの波と流れが
僕らを弄んでは追い越してゆく
流されることすらできずに留まり続ける者の上
葉桜の木漏れ日が降りかかっている

ここにいるよ

たとえこれからどんなに時を数え
どんな嵐や荒波が過ぎ去っていっても
僕は いつでもいつまでも君を想っているから

優しく見守るように佇むあの丘の葉桜の下
約束の時が来る前でも 戻ってこられるように
僕は今日も一人 君を待っています


ここにいるよ


ここにいるよ

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

葉桜の咲く丘で

――-もう誰も振り向かなくなったけど、僕はまだここで待っているよ。

桜の季節…でしたがもう私の近辺は終わってしまったので。
花が散って見る人のない葉桜を、だんだん飽きられて忘れ去られていくものに例えて書きました。

最近の世の中って移り変わり激しいですよね。半年前に流行ってたものがもう今頃は「えっ?なにそれ」「もう古いよ」なんて言われたり。流行についていくのはいいことかもしれないけど、たとえばたくさんの人が亡くなった事件とか事故のことまで忘れ去ってしまうのはどうなんだろうと思います。

閲覧数:139

投稿日:2013/08/21 14:54:47

文字数:881文字

カテゴリ:歌詞

クリップボードにコピーしました