バタンッ…
僕は本から放り出されるように、擦り切れたカーペットの上に吐き出された。
「ほう。関心だな。」
「なにがです?」
僕はぶつけた頭の痛みに苛苛しながら、館長の男に聞いた。館長の男は開かれたままになっていた本に手を伸ばしぺらぺらとめくる。
「ああ、なるほどそれでか。中でお馬鹿共がテキトーなことやりやがって…」
「???」
僕は、館長の言っている意味が分からず首を傾げる。あまりに自然に行っていたので、何故館長は本に飲み込まれないのかという些細な点を僕は見落としてしまった。
「君が余りに帰ってくるのが早いので、理由を調べてみたら…君の推理と調査を彼らが邪魔しなかったかね?」
「彼ら?」
「例えば、街のポワロだとか二十年前の女探偵とか…」
なにを言っているんだこの男は…
「別に会わなかったならそれでいいんだが…」
「それよりも途中景色が揺れて、僕の口が勝手に話し出したのはどういうことですか。」
僕は本の中に出入りしてその光景を眼にするという異常事態が、現在進行形で起こっていることよりもなによりも、それが気持ち悪くて仕方なかったのだ。
「ああ、それはあまり気にしなくていい。本の中に人が入りすぎると、満員のページを本が勝手に端折ってくれることがある。実際に見るのが一番だが、次に頭に残りやすいのは声に出して復唱することだからね。」
…よく理解できない。
「今調べると、ポワロは128ページと129ページを言ったり来たりしているし、女探偵は152ページで座り込んでしまっている。他にも100ページから180ページで留まっているのがちらほらいる。だから君はそこをショートカットされたんだろうな。」
僕は男の衝撃の連続とも言うべき発言にただただ驚き、気づくと口が開いたままになっていたので慌てて閉じた。
「まあ、良く考えれば君は彼らより先にたどり着いた訳だしいいじゃないか。」
えっ!?と僕が首を傾げると男はまさかと笑った。
「あんなにはっきり自白する犯人も珍しいと思うのだが…」
「でも…」
僕には、あの『鏡音レン』という探偵が、全ての黒幕には見えなかったのだけど…
「ふむ。不満という顔をしているね。確かに、この話には続きがある。しかし、君はすでに体裁を繕うには充分すぎる程の情報は引き出せている。挫折して屋敷から逃げ出していった愚か者や未だに本の中で思考している馬鹿には出来なかった快挙だ。別に、彼らの物語を無理に完結させる必要は無いと思うが…」
僕はそこで悩んだ。しかし、もうここまで来たなら名探偵のプライドが許さないのだ。僕は黙って手を差し出した。
男は1つため息を吐くと、物好きなと一言つぶやいて史書机の中から一冊の本を取り出した。それを受け取り表題を見る。
『ナゾカケ』
何故『ナゾトキ』の後に『ナゾカケ』なのか等気になることはイロイロあったが、今はそれを無視して僕は本を開いた。
三び本に飲み込まれていく身体…
「やれやれ『また』紅茶の補充が必要だ…」
episode3 ―ナゾカケ―
犯人の物語 ―ナゾトキ・ナゾカケ・ぼくにピアノを弾かせて(間奏②)―
ひなた春花さん(http://piapro.jp/haruhana)の名作ナゾトキ(http://piapro.jp/t/1XmV)・ナゾカケ(http://piapro.jp/t/WzK5)・ぼくにピアノを弾かせて(http://piapro.jp/t/Trb-)をまとめて小説にしてしまおうプロジェクト。
いっ、息切れなんかしてなっいんだからね!!
ついに最終章突入!!
続きはこちら(http://piapro.jp/t/3Cm0)
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もうさんざんよ 無意味なことは
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cl17
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