「沢口さん」
 『誕生日おめでとうございます』
 拍手する一行。そして沢口がケーキに刺さったロウソクを吹き消す。
 「みんな、ありがとう」
 微笑みながらいう沢口。
 「どうぞ、召し上がってください」
 「それじゃ、そのビーフシチューをもらおうかな」
 「はい、どうぞ」
 雅彦がビーフシチューをお玉で皿に入れる。その後で、全員分を皿に入れた。
 「サラダも食べてください。ドレッシングはご自由にどうぞ」
 そういってサラダを取り分ける。そしてドレッシングはMEIKOがブレンドしたものを容器に入れて出す。
 「色々とすまないね」
 そういいながらビーフシチューを口に運ぶ沢口。
 「うん、中々美味しいな。最近すっかり歯が弱くなったから、しっかりと煮込んであるお陰で、肉や野菜が軟らかくなっていて、歯を使ってあまり力を入れなくても噛めるのはありがたいな」
 「ありがとうございます」
 微笑むMEIKO。
 「本当だ、めーちゃん、美味しいよ」
 「ふふ、KAITO、ありがとう」
 微笑むMEIKO。そうやっていると、沢口にリンがよってきた。
 「ねえねえ沢口さん」
 「何だい、リンちゃん?」
 「沢口さん、大好き♪」
 そういって沢口に抱きつくリン。
 「…おい、リン、食事中に抱きつくなよ」
 レンが注意する。
 「だって、抱きつきたいから仕方ないわ」
 「リン、そんな感じでTPOをわきまえないと、カイ兄みたいになるぜ」
 「う…、それは…、いやかも…」
 「…レン、どういうことだい?それじゃ僕がまるで空気が読めないみたいじゃないか」
 「カイ兄、実際そうじゃねえか」
 「う…」
 レンの言葉に、あっさり沈黙するKAITO。
 「レンのいうとおりよ。KAITO、あなたみたいに人目をわきまえないのが問題ということよ」
 「ひどいよ、めーちゃん」
 そんな四人をみて、微笑む沢口。
 「どうされたんですか」
 「四人とも、似合いのカップルだね」
 そういって微笑む沢口。
 「沢口さん、ありがとうございます」
 「当然よ」
 それぞれ反応を見せるKAITOとリン。
 「雅彦さん、負けてられませんね」
 「…ミク、何でそれを聞いてそういう結論になるんだい?」
 雅彦が呆れたようにいう。
 「もちろん、雅彦君とミクさんも似合いのカップルだね」
 沢口がフォローする。
 「沢口さんがそういってくれるんだから、良いじゃないか」
 「ですけど…」
 「ひょっとして、ミク、何かしらいちゃいちゃする口実が欲しいだけじゃないの?」
 「あ…」
 「それじゃ、いっちゃ悪いけど僕と変わらないよ」
 図星だったらしく、そのまま黙ってしまうミク。その様子を見て笑いが起こった。和やかな雰囲気の中、食事は進んでいく。
 「それじゃ、そろそろケーキを切るわね。今回はシンプルに、イチゴのショートケーキです。ケーキはミクとリンが作ったの」
 ケーキの紹介をしながらMEIKOがケーキを切り分ける。
 「ミクさん、リンちゃん、ありがとう」
 「いえ、沢口さんのためですから」
 「えへへ、沢口さん、ありがとう」
 当然といった感じでこたえるミクと照れながらこたえるリン。
 「今、コーヒーを淹れています。沢口さんはコーヒーで良いですか?」
 キッチンでわかした湯からコーヒーを淹れているKAITOが沢口に問いかける。
 「ああ、コーヒーで良いよ」
 しばらくすると、MEIKOが切り分けたケーキとKAITOが淹れたコーヒーが沢口の前に並んだ。ケーキを口にする沢口。それを固唾を飲んで見守る一行。
 「…うん、美味しいよ」
 「やったあ」
 そういって飛び跳ねるリン。そうして一行は同じく切り分けたケーキを食べた。そして、穏やかな雰囲気の中誕生会は終わった。

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初音ミクとパラダイムシフト4 3章4節

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投稿日:2017/03/09 21:33:35

文字数:1,573文字

カテゴリ:小説

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