朝ごはんを堪能し、制服に着替えた。
緑色の棒タイを胸元で結ぶ。それから髪をとかす。くせっ毛でたまにブラシに髪がひっかかる。顔を洗って歯を磨く。いつもどおりの朝、今日も平和だなとしみじみ思ったりして。
いってきます、と母に聞こえるように言うと家を出た。
空模様は綺麗な水色でいかにも晴れの天気だ。小鳥のさえずりではなくカラスの鳴き声が聞こえる。朝からカラスは元気だなと思う。その反面うるさいとも感じる。
そういえば生活斑と係決めを今日やるのだ。
5時間目に予定されている学活の時間で決めるのだ。出来るだけ楽な係を選ぼう。
委員にはできるだけなりたくない。一人の時間を減らされるのは嫌なのだ。
かといって完全なるぼっちということでもない。何人かは話せる人はいるし、話しかけてきてくれる人もいる。だが、私は一回もそのような人たちのことを「友達」という枠に入れたわけではない。べたべたとくっついてきて無駄に話しかけてくる女子共が、ずっとうるさい男子共が正直うざったしいのだ。ぼっちではないが、友達がいるわけではない。友達というのは名前だけで実際は知り合い枠だったりする。知り合い枠でもそこまで人はいないものだが。そんな私にも過去に一人親友がいた。年下だったが自分より断然頭が良くて、両親も高校の教師。運動も勉強も絵も上手くて自分とはかけ離れた女の子だった。
ここに私は引越ししてきた。いわゆる私は「転校生」というものだ。
ここにきたのは小学一年の5月ごろ。クラスの皆は同じ幼稚園だったりして転校してきた私には絶望のような空間だった。親も私が小さい頃から残業で朝から晩まで仕事。
そのとき、母は私を児童会館にいれた。少し古びた小さな会館だったが小学一年から六年生まで約40人ほど。一年生の頃は周りとなじめず泣いてばかりだった。
二年生になって一年生という自分より小さな子が入ってきたのだ。そして彼女と出会った。
いつどのように友達になったのかは覚えてない。ただずっと一緒にいてくれた。
変なごっこ遊びをするときだって絵を描くときだって。
勉強を教えてもらったときもあったっけ。特に彼女は歴史が好きで、歴史は教えてもらっていたっけ。私が中学に上がるとき児童会館での「卒所会」。卒所生は私を含め3人。
別れの言葉を年下が言ってくれるところがあって、そこで私に言ってくれたのが彼女だった。彼女は「とても気が合う親友だったと思います」と言ってくれた。別れの言葉を言い終わると彼女は私のほうに顔を向けてありがとう、とぱくぱくと口を動かした。
そんな彼女が私の唯一の親友だったと思う。彼女は今年から中学一年生だ。
本当は私と同じ学校に行くのだが、彼女は少し遠く頭のいい中学に受験をした。
そして受かった。そのため一年ほど会っていない。また、会いたいななんて。
そして、勉強なんか教えてもらいたい。なんて願いは叶わないのだが。
彼女とは連絡先を交換していない。彼女が携帯を持っているのは知っていたがなんとなく聞きずらくて聞けなかったのである。今思うとちょっと後悔している。

過去のことをぼんやり考えているうちに学校に着いた。
周りからは「おはよう」の声。私にはそんな声はかからない。
朝から元気だと心の中で呟く。そんな生徒たちを横目で見ながら靴箱に足を進めた。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

4話 朝は苦手

4話まできちゃいました。
一話から見ていない方は是非、一話からご覧ください。

足痺れた。

閲覧数:39

投稿日:2016/05/21 23:14:21

文字数:1,369文字

カテゴリ:歌詞

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