佐藤教授から提供されたわかぎ園の情報をもとに、わかぎ園に連絡し、アポイントメントを取ることに成功し、園長に会えることになった。そして、いよいよわかぎ園への来訪を翌日に控えた日の夜。
「ミク、ちょっと良いかい?」
ミクの部屋にKAITOが訪ねて来た。
「KAITO兄さん、どうしたんですか?」
「明日のわかぎ園の園長さんとお会いすることだけど、ちょっとミクに話しておかないことがあってね。良いかい?」
「はい、どうぞ」
そう言ってミクの部屋に入るKAITO。部屋には椅子が一つしか無いので、ミクはKAITOに椅子をすすめ、自分はベッドに腰かける。
「KAITO兄さん、話って何?」
その言葉に、KAITOの表情が少し曇る。
「明日、僕たちは安田君が小さいころ住んでいた施設に行くことになるけど、覚悟は出来てるかい?」
「覚悟って、どういうこと?」
KAITOの口から覚悟と言う言葉が出たのを奇妙に思うミク。
「野口君が言っていたけど、わかぎ園で聞く内容には、安田君にとって良くなかった過去の話が出てくる可能性があると思うんだ。そのことにミクが向き合う覚悟があるかなって思ってね」
一旦話を切るKAITO。
「…これは、僕なりの推測なんだけど、安田君の過去と言うのは、とても辛いもので、きっと人には言えない過去のような気がするんだ。だからひょっとして、聞くに堪えないようなことを聞くことになるかもしれない。もしミクがそういう話を聞くのに耐えられないというのであれば、ミクは無理しなくて良い、と言うことさ。それなら僕とめーちゃんだけで行って、話を聞いてくるけど…」
その言葉に、笑顔を見せるミク。
「KAITO兄さん、私は大丈夫。野口さんから雅彦さんの過去が辛いものかもしれないって話が出た時に、そういう話が出てくる可能性は考えてるから覚悟は出来てるわ。それに、雅彦さんにそんな過去があるなら、雅彦さんの恋人として、私もその苦しみを共有して、私も雅彦さんを助けたいの」
ミクの目には、はっきりとした、強い意思が見て取れた。その顔を見て、笑顔になるKAITO。
「…ミク、強くなったね。そこまで言うんなら、どうやらミクの覚悟は本物みたいだね。それなら、明日一緒に話を聞きに行こう」
「うん」
「僕の話はそれだけだよ。それじゃ、お休み」
そう言ってミクの部屋を後にするKAITO。KAITOはその足で、MEIKOの部屋に入った。
「…で、どうだったの?」
「ミクは最初からそういう覚悟は出来ているし、安田君の苦しい過去を共有してあげたいから一緒に行くって」
「…そう」
「ミクは本当に強くなったよ。少なくとも、ただ守られるだけの存在じゃ無くなってるね。これも、安田君と付き合ったお陰かな」
「そうね、安田君と付き合うのに一悶着あったせいで、精神的には以前と比べてタフになってるわね。そういう意味だと、安田君には感謝しないと」
「そうだね。安田君は、ミクにとって、本当にかけがえの無い存在になっていると思うよ。…それじゃ、僕はそろそろ寝るよ。お休み」
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あろうことか前・後篇あわせて12ページもあるので、どうぞお時間のある時に読んで頂ければ幸いです。
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