幕は上がって 僕は舞台に立つ
観客はなく 澄んだ空気の中

「現在(いま)」はどこにも 誰も何もなくて
静寂(しじま)に溶けて 歌はついえていく

ある詩人は言いました
人間の頭には藁が詰まって
ただ静かで意味はなく
色もない影なのだと

未来の願いを燃やして空へと還そう
どうか幸せにだなんて
今更誰に言えるの?
言葉をいくつか繋いだつたない空言(そらごと)
それは懺悔へと変わる
造りモノのスワンソング


時はうつろい ここが世界の果て
歓声もなく 独りたたずむ「人形(ぼく)」

「現在(いま)」はいつしか ヒトを忘れ去り
瓦礫に響き 歌は意味を亡くす

ある詩人は言いました
終りには悲鳴も銃声もなく
ただ静かにすすり泣き
幕は下りていくのだと

命の光を燃やして空へと送ろう
どうか忘れないでなんて
今更誰に言えるの?
想いをいくつか集めたつたない歌声
それは祈りへと変わる
造りモノのレクイエム


「現在(いま)」はそうして 僕を置き去りに
孤独を教え 歌を儚んだ

尊き祈りを燃やして 空へと贈ろう
どうか安らかになんて
今更聴く人もなく
誰かが遺した願いを 最期に歌おう
それは弔いに代わる
造りモノのスワンソング

聴く者なきエンドロール

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい
  • オリジナルライセンス

終焉のスワンソング

カイパラの終末コラボ用に書き下ろしてみた試作品歌詞です。
スワンソングは「白鳥は死ぬ間際に美しく鳴く」という話から転じて「詩人や歌手の遺作・最後の作品」という意味だそうですよ。

ちなみに「ある詩人」とはT.S.エリオットのことです。
「うつろなる人々」という詩から引用しております。

閲覧数:228

投稿日:2015/01/14 02:05:50

文字数:530文字

カテゴリ:歌詞

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