それは冬のある日のこと。

大学からの帰り、駅前のローソンで、おにぎりと、カップに入った抹茶のスイーツを買った。男ながら、甘いモノが大好きで、駅についてから、ベンチに座って、食べてしまおうという考えだ。

駅について、駅のホーム。改札を抜けて、電車の時間まであと10分程度。袋から全て取り出し、袋はいつものカバンにしまう。ベンチに座っておにぎりを食べたら、ビニールに、そのゴミをつっこむ。

さて、スイーツだ。まず蓋を明ける。蓋はビニールに。他のゴミもつっこんで、さて食べようとした時に、有ることに気がつく。

あれが無い。

よくよく考えれば、取り出した時から、それが無かった事に気がつく。そう、スプーンだ。いつも、あのコンビニで買っていたが、スプーンが付いてこないのは初めてで、誤算だった。

スプーンをもらいに行く時間はない。もう電車がくる。この電車を逃せば、次の電車までかなりの時間がある。家に帰るには、やはりこの電車に乗った方がいい。

蓋をして、袋に入れようと思った時には、すでに、それはピタゴラスイッチのように、不幸の連続が始まっていた。

ビニールには、ゴミが入れていたが、蓋すらすれば、別に問題ない。しかしそのビニールに、ご丁寧に「穴」が開いていたのだ。しかも蓋は、他のゴミの汚れでべったりだ。

蓋をしてビニールに仕舞うことは出来ない。っていうか、そもそも蓋が出来ない。スイーツを置いていくわけにはいかない。そして電車はもう来てしまう。

私は仕方なく、電車に乗り込む。大の男が、カップスイーツを手にもったまま、電車に。羞恥心で顔が真っ赤だったかどうかを、確認する余裕など私には無い。

なんとか座ることが出来たが、向かいの席にも人はいる。カップスイーツを片手にもった男が、恥ずかしそうに、俯いてる姿を見れば、何も言わないだろうが、何やってんだコイツと誰もが思うことだろう。

しかもこの電車には20分は載っていなければならない。これほど早く、降りる駅についてほしいと思ったことは、後にも先にも無い。そして、何事もなく、駅につけばいい。だがそんなことが許されるほど、この不幸のピタゴラスイッチに慈悲はなかった。

揺れる電車。傾くカップスイーツ。飛び散るクリーム。手にべっとりと着いたクリーム。そのクリームを拭き取るティッシュもハンカチも持ち合わせていない。普段は持ち歩いているのに、その日はたまたま持ちあわせていなかった。これが不幸と言わずしてなんと言おうか。

べったりとクリームが着いた手で、カップスイーツをもつ男、こんな不審者他に居るわけがない。これで改札を通り抜ける。もう恥ずかしくて恥ずかしくて、仕方がない。

降りてすぐに、駅構内のコンビニへ。もちろん、目当てはスプーンだ。確か買ったのはヨーグルトだ。片手にカップスイーツを持った男が、ヨーグルトを買う様子はさぞかし滑稽だろう。

さて、無事にスプーンと袋とおてふきを調達した私は、コンビニをでて、駅構内のベンチへ。手を拭いて、スプーンを出しスイーツを食べる。


はずだった。

そこにあったのは、液体である。電車の揺れと、社内の暖房で、スイーツはすでにスプーンが必要ないほどに、ドロドロであった。





この日以来、あのコンビニでカップスイーツは買っていない。もしコンビニアルバイトをする時があれば、スプーンだけは忘れずに入れてやろうと思った。そんな、冬のある日。





なお、実話である。

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ローソンカップスイーツ事件

これ、実話なんだぜ?

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投稿日:2014/03/11 23:34:24

文字数:1,443文字

カテゴリ:小説

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