!!!Attention!!!
この度、ボス走らず急いで歩いてきて僕らを助けてPの「野良犬疾走日和」を、コラボ(二人)で書くことになりました。
自分が書く「青犬編」とつんばるさんの書く「紅猫編」に分かれております。
原作者様には全く関係なく、そして勝手な解釈もいいところで、捏造だろうと思われる部分もあると思います。
そういった解釈が苦手な方はブラウザバック推奨。
なお、カイメイ要素を含みますので、その点にもご注意ください。

大丈夫だよ!寧ろバッチ来い!の方はスクロールで本編へどうぞ。








【独自解釈】 野良犬疾走日和 【青犬編:序】





 さぞかし自分は疲れきった顔をしているだろう。そんなことを思いながら、ようやく家についた。
 満月とはいえ、暗闇の中では視界が悪い。そんな中、少しの期待を胸に郵便受けを覗いて手を伸ばすと、その疲れが一気に吹っ飛んだ。比喩ではなく、本当に。
 いつもなら新聞すらも入っていないはずのそこには、待ちに待っていた手紙が一通入っていたのだ。上等な質感の封筒には、まるで送り主の性格や外見を表すかのようにほんの少し尖った綺麗な文字で、俺の名前が記されていた。多少癖がないとも言えないが、人はこういうのを達筆と呼ぶに違いない。暗い中でも見間違えるわけがないこの字・・・自然と笑みが漏れるのは、この時を今か今かと待ち望んでいたからに他ならない。
 手紙の封を切りながら行儀が悪いと思いつつも足で玄関の引き戸を開け――それがまた今の俺を笑っているかのようにとても滑稽な音なんだが、それを無視して――早々と履物を脱いで、それを揃えもせずにバタバタと家に上がった。覚えていたら後で揃えに行くことにする。
 俺の体重を乗せてギシギシと床が悲鳴を上げていたが、最早いつものようにそっと歩かなければという意識は遠くの方へ追いやられていた。
 明かりを無造作に付け、滑り込むように畳の上に正座し、封筒から便箋を取り出す。木材にはないやわらかな冷たさを伝える畳から藺草(いぐさ)の香りが鼻腔をくすぐるのを感じながら、緊張の面持ちで便箋を開いた。
 ここにも、同じ綺麗な字が並んでいる。一つ一つの文字をまるで目に焼き付けるように見ながら、俺は昔のことを思い出していた。


 めーちゃん、めーちゃん。
 なあにかいとくん。
 ぼくね、めーちゃんのことだいすき!
 ふふふ、あたしもかいとくんがだいすき!
 ねえ、めーちゃん。おおきくなったら、けっこんしようね。
 うん、やくそくよ。ずうっといっしょよ。
 うん、やくそく。


 もしかしたら、この手紙を書いている彼女は、あの約束なんて忘れてしまったかもしれない。文面からそういうことが全く読み取れないのが口惜しい。もしも本当に会話をしていたならば、彼女の表情で読み取れるかもしれないのに。
 本当ならば、ずっと傍にいるつもりだった。ずっと傍にいて、一緒に笑っているつもりだった。いつまでも子供だったら幸せだったのにと思うのは、今の俺と彼女とを隔てている壁があまりにも高いからだろう。
 この封筒や手紙の質が俺に語るのは、辛い現実だけだ。彼女の文章はとても優しく、その便箋から香る仄かな名前も知らない花の香りは俺を懐かしい気持ちにさせるのに、その封筒と便箋の手触りが俺と彼女の違いをまざまざと見せ付ける。
 読み終わった便箋を封筒にしまい込み、そこでようやく鞄を提げたままだったことに気付いて肩から下ろした。


 じゃあ、ゆびきりしよう! めーちゃん、こゆび、だして! ・・・・・・ゆーび、
 あ、だめよ、かいとくん、まって。せーのでいっしょにいわないとだめなのよ。
 そうなの?
 だって、やくそくはひとりでするものじゃないから、って、かあさまがおっしゃっていたわ。
 そうなんだ。
 せーのでいい?
 うん。
 せーの、

 ゆーびきーりげーんまん、うーそつーいたーらはーりせーんぼーんのーます!


 俺にとっては忘れることのできない大切な約束でも、彼女にとっては子供の頃のお遊びだと思われていてもおかしくはない。手紙でのやり取りは既に数百通を超えているが、彼女がその約束のことを書いたことは一度たりともないからだ。
 もしも彼女があの約束を覚えていたならば、俺は今すぐにでも・・・何日かかろうともこの身一つで走っていくのに。
 全く、自分から約束のことを書く勇気もないのに、どうかしている。
『かいとっ!』
 畳を軋ませ、仰向けに寝転んで目を伏せると、瞼の裏で幼い彼女が笑いながら俺の名前を呼んだ。手紙を持った手を胸の上に乗せる。やわらかなその香りを吸い込もうとするが、寝転がっているせいで藺草の匂いしかしなかった。
 小さく息をついて目を開き、封筒を手にした手を天井にかざす。封筒の中に便箋の影が映った。ここから封筒に隠されて見ることができない便箋は、まるで遠くにいて決して会うことはできない彼女のようだ。この手紙は、俺たちの距離を如実に示している。
「・・・まだまだ頑張るから」
 それは、彼女への言葉のようで、本当は自分に言い聞かせたかっただけだろう。
 足を跳ねさせて上半身を起こし、四つん這いになって部屋の片隅に置いてある小さな机に向かった。
 引き出しの中から彼女の送ってくれたものとはまさしく雲泥の差である安っぽい紙を取り出す。彼女の封筒から中身を取り出し、それをもう一度読み直しながら筆を手にした。
 伝えたいことならたくさんあるはずだが、こうして真っ白な紙面と向き合うと、全てが文字にはならず頭の中に浮かんでは霧散する。もしもここに彼女がいたら、考えるより先に言葉が出てきそうなものなのに不思議なものだ。こうして考えて書くからこそ伝わる気持ちもあるのだろうが、俺はやはりこれだけでは満足できない。
 会いたいなんて書いたら、彼女は何と返してくれるだろうか。世迷言だと思うだろうか、それとも「私も会いたい」だなんて冗談でも書いてくれるのだろうか。
 書きかけたその言葉を頭の中で消し去り、新しい文面を書き始める。とても上手くは書けないが、それでも気持ちを込めて、この気持ちが君に届くようにと。
 俺は書き上げた手紙を机の上に置き、いつものように白飯を炊いて握り飯を二つ作り置きする。
 明日もまた俺の朝は早い。汗を流すだけ流してボロボロの着物を着、布団を押入れから出して敷くと、早々に明かりを落として眠りについた。いつものように君のことを思いながら。

 君は望んでいないかもしれない。でも・・・それでも俺は、いつかきっと君を迎えに行く。




ライセンス

  • 非営利目的に限ります

【独自解釈】 野良犬疾走日和 【青犬編:序】

お久しぶりの+KKです。
まさか予定してた次回作の前にこれを投稿しようとは思いませんでした。
今回のお話は、何と・・・初のコラボで初の解釈小説(連載ものでは)。
E・BとI・Gみたいな関係のお話です。中身は全然違いますが。
I・G後書きで、次回作が決まらなくて~的なことを言っていたらありがたくも「コラボしませんか?」と言ってくださった神様みたいな方がいらっしゃってですね、もちろん二つ返事でOKしたわけです。
何と、声をかけてくださったのは・・・つんばるさんなのです!連絡きた時は心臓が口から飛び出る勢いでですね・・・!しかもこんなことしませんか?とネタまで・・・この人になら一生ついて行けると思った瞬間でした(笑
微力ながら話を膨らますお手伝いもしてますが、ほとんどつんばるさん一人で・・・無力だ自分。打ち合わせしながらつんばるさん一人でも書けたのに何故自分だったんだろうと思いました。
・・・最終話にあんなこと書いたからですね、わかります。つんばるさん優しいから・・・!

とりあえず、これからまだ投稿していない次回作の方と、このお話とを全力で書いていきたいと思いますので、しゃあねぇから付き合ってやるか!という方がいらっしゃれば、是非続きも読んでいただけると嬉しいです。
つんばるさんの書かれている、寧ろこっちが主なんじゃないか!?というぐらいに
素敵な「野良犬疾走日和 紅猫編」ともどもよろしくお願いいたします。
自分でもそう思うぐらいなので、こっちは読まなくても「紅猫編」は読んだ方がいいんじゃないかな!←

+++

ここまで書いてて改めて紹介する必要もないと思いますが、一応・・・
カイメイ語らせるとおそらく止まらなくなるだろう「紅猫編」を書いているコラボ主犯(笑)
つんばるさんのページはこちら → http://piapro.jp/thmbal
つんばるさんの書かれた他の作品も是非読んでみてください。きっとハマります。

+++

西の風さんが勢い余って作ってくださいました。
小さい頃のかいとくんとめーちゃんがいるよ!
ありがとうございます! → http://piapro.jp/content/pa1ijdptpbvt9b5s

閲覧数:740

投稿日:2009/09/01 21:22:54

文字数:2,728文字

カテゴリ:小説

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    >>西の風さん
    お久しぶりです、西の風さん。
    新作の方まで・・・!おぉぉ、ありがとうございます・・・!

    勢い余って作れるものなんですね!何たる癒し!
    不都合でも不愉快でもないですよ。めちゃくちゃ喜んで悶えて跳ねました←
    つんばるさんが考えてくださった部分なので、自分が考えてるとこうはならなかっただろうなと思いつつ、
    にやにやによによさせていただきました。

    続きも一応進行中です。自分が遅れてるのでこれを糧に頑張って続き書きます~。
    それでは、本当にありがとうございました!!

    2009/07/23 07:53:13

  • 西の風

    西の風

    使わせてもらいました

    お久しぶりです、西の風です。
    今更ながらにこそっとお邪魔しに参りました。新作の方も読ませて頂いております(←ここで言うことではない)。

    …で、ですね。
    勢い余って…、こちらの小説の台詞の一部をそのまままるっとお借りしてしまいましたので、ご報告に、上がりました。
    不都合、不愉快でしたらざっくり言って下さいませ。速攻で消して来ます。はい。
    一応、こちらになります⇒http://piapro.jp/content/pa1ijdptpbvt9b5s

    それでは本当にお邪魔致しました。続きを楽しみにしておりますっ。

    2009/07/23 00:29:58

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