＜Ａ１＞
天に　浮かぶ
白い　雲の
お城から
見えるのは

青と　緑
それと　茶色
それっぽっちしかなく
だるい

＜Ｂ１＞
父上様も
母上様も
過保護すぎです
いっそ一人で
逃げたい

＜Ｃ２＞
おやめなさいと
皆で私止める
可憐に美しく
座っていれば良いと

酷いわ誰も
自由を与えたり
して下さらないの
私一人忍び泣き

＜Ａ２＞
そんな　ある日
城の　外に
いた方に
ときめいた

律儀　そうな
彼は　私
見つけると
にこりと
微笑んだ

＜Ｃ２＞
何がそんなに
不満なのですかと
尋ねる彼に云う
景色が味気なくて

そしたら彼は
薄紅に輝く
花びらを取り出し
私に握らせた

これらをまけば
きっと華やかな地と
なってあなたのことを
綾なしてくれるでしょう

（ひらがな）

＜Ａ１＞
てんに　うかぶ
しろい　くもの
おしろから
みえるのは

あおと　みどり
それと　ちゃいろ
それっぽっちしかなく
だるい

＜Ｂ１＞
ちちうえさまも
ははうえさまも
かほごすぎです
いっそひとりで
にげたい

＜Ｃ２＞
おやめなさいと
みなでわたしとめる
かれんにうつくしく
すわっていればよいと

ひどいわだれも
じゆうをあたえたり
してくださらないの
わたしひとりしのびなき

＜Ａ２＞
そんな　あるひ
しろの　そとに
いたかたに
ときめいた

りちぎ　そうな
かれは　わたし
みつけると
にこりと
ほほえんだ

＜Ｃ２＞
なにがそんなに
ふまんなのですかと
たずねるかれにいう
けしきがあじけなくて

そしたらかれは
うすべににかがやく
はなびらをとりだし
わたしににぎらせた

これらをまけば
きっとはなやかなちと
なってあなたのことを
あやなしてくれるでしょう