冷たい土の底で
蹲(うずくま)って眠っていた
誰にも見つけられることもなく
待ち続けていた

凍った星座の雨が
瞳いっぱいに降ってきて
なぜか戻らぬ人の声音だけ
夜に残した

喉を切るほどの冷たい呼吸
言葉にする先から雪結晶に変わるの

その手に触れたくて
その声に包まれたくて
手を伸ばすと空気が割れ
貴方だけが消えてく



やがて土から芽が出て
眩しい朝が来たら
まだ弱い素足で立ち上がって
走り出すの

降り注ぐ日差しの中
躓き転びながら
呼ぶ名は虫の声に遮られ
届かなくとも

チリチリと火花が咲き始める
唇が貴方の名を宙に吐き出す

その瞳にも
その大きな背中にも
私の痕(あと)残すことは
できないと知ってる


それでも貴方に
もう一度だけ貴方に
出会えるなら
灰になって
風に散っても構わない

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

カーミラ

吸血鬼(女性)の悲しい恋を書いてみました。

閲覧数:88

投稿日:2018/05/04 00:39:56

文字数:355文字

カテゴリ:歌詞

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