Lou Bernardさん

ラベンダーさんとオレンジくんという児童小説をカクヨムに上げております。ウィットに富んだ皮肉が魅力で、読者を知覚できる主人公が魅力の海外ファンタジーです。

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JazzBaron

ラベンダーさんとオレンジくんという児童小説をカクヨムに上げております。ウィットに富んだ皮肉が魅力で、読者を知覚できる主人公が魅力の海外ファンタジーです。

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最終更新日時:2018/10/14 17:22:31

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イチオシ作品

第1輪 良きトイレと髪の毛は、人生を満喫する上で欠かせない 2

 このひとことに、オレたちは黙るしかなかった。さっきまでのおちゃらけた態度はどこかへ消えていた。ガトフォセは続ける。 「だから、もう精油を売ることはできない。おまえたちにもう、協力できないんだ。悪いな」  そういうとガトフォセは、席を立とうとした。 「おい、待て、理由を教えてくれ」  オレはあせった。それは困る。オレとラベンダーには、アロマ連合から与えられたミッションがある。精油計画だ。人間界に精油を普及させるというきわめて重要な役割が。  植物から作られる油、精油。  香りをかぐだけで幸せになれる、魔法の液体。  これを使って人間の心をゆたかにして、精神的に余裕を持たせる試み。  戦争も、伐採も、病気も、人間の心によゆうがないから起こる。その結果、搾取されるのはいつも自然だ。だから、精霊界――おっと、言葉をまちがえた――少なくとも植物界は人間たちを支援しようとしてるんだ。  それなのに、会社が倒産だって? 冗談キツいぜ。 「理由はいくつもある。今回の大戦でわが社の精油工場がつぶされたこと。それに、新しく契約した加工工場が、ストライキを起こしてる。賃金を上げろとうるさい。みんな、その日のパンを買う金にも困ってるんだ。賃金なんか上げられない」  やつれた顔でいうガトフォセ。疲れきった友だちの姿に、オレは同情した。 「ああ、わたしもよくストライキ起こすよ。どれだけイジめられても、イジメっ子を支援するアロマ連合にね」  ラベンダーはよけいなことしかいわない。  この女、悪魔か。  ガトフォセはいった。 「しばらくは、入荷予定の精油を売って食いつないでいくしかないと、社員たちと話しあったんだが、いつまで待っても来ない。それで業者に連絡してみたら、そんなものない、盗まれた! といわれ電話を切られた。最悪の治安だ!」 「まあ落ちつけよ、な?」 「落ちつけだって? おまえたちは霊だから気にしないだろうが、人間は食べ物が食べられなかったら死ぬんだ」 「なんとか方法を考えよう」 「方法だって? いいだろう。アイディアは?」  しかし何も思いうかばなかった。 「精油を輸入しようにも、農場はドイツに破壊されるし、香料を輸出しようにも、買い手がいない。踏んだり蹴ったりだ。香料なんて娯楽品、いったい誰が買う⁉︎」 「香りじゃ腹は満たされないからな。だが、軍には買ってもらえそうじゃないか? 兵士は衛生を求めてる」 「もちろん提案はしたさ。だが、そんなものより赤ワインはないかと訊かれたよ。うちもワイン農家になるべきだった」 (フランス軍はいろいろと娯楽品を買っていたが、なかでもワインが一番人気だったんだ。オレはワインよりジンのほうが好きだが。ここだけの話、最近は日本酒にハマってる。ともだちにはナイショだ) 「食べ物にはかなわないな。そういやオレも食べ物だった」 「戦争が始まってから、うちは赤字だ。支払いだって待ってもらえない。来月末までに払えなかったら倒産だ」  ガトフォセはストレスと悩みで泣きそうだった。 「いまだけの辛抱だ。戦争が終われば、みんな香水や娯楽を求めるさ」 「いつ終わるんだ? もう4年もやってる! なあ、オレンジ、ぼくに教えてくれ。精霊だから知ってるだろう? いったいいつ、このひどい戦争は終わるんだ⁉︎」  ガトフォセは大声を出した。頭のなかで何かが切れたって感じだ。興奮している。 「そんなことオレが知るわけないだろう、おまえたち人間が始めたことだ」 「ぼくは一生けんめい働いているのに、おまえたちときたら、ろくに働きもせず遊んでばかり。おまえはいつもナンパしてるし、ラベンダーはそもそも店にいない。ぼくの仕事を手伝ってくれたことがあるか?」 「本当にそう思ってるのか? 契約できそうな農場や工場を見つけたり、ラベンダーの栽培の仕方、蒸留法をそいつから聞き出して教えたのは誰だったか、忘れたとはいわせないぞ。それに、悪霊からこのリヨンを守ってるのはオレだ。だからこの地域は安全なんだ!」 「だったらぼくもいわせてもらうぞ! 見ろこの頭を。誰のせいでこんな頭になったと思う? オレンジ、ラベンダー、君たちはぼくに大きな借りがあるんじゃないか?」  う、これには反論できない。 「この頭になってから、妻と言いあいになると、いつもバカにされるようになった。昨日なんていわれたか教えようか? あなたが父で、娘は後悔するでしょうだ!」 (3歳の娘がいるんだ。ちょうどラベンダーを召喚した日に生まれた。ガトフォセとちがってかわいいが、ガンコさと霊能力の高さを受け継いでいる) 「髪を燃やしたのはラベンダーだろ」  ラベンダーは、自分のつめを見ながらひとこと。 「ニンゲンに仕返ししただけよ」 (ニンゲン。差別用語。精霊界でよく使われるスラング) 「オレンジ、おまえが魔法陣にらくがきしたからだろう! ぼくが精油事業に本気を出してるのは、フランスを清潔にしたいからじゃない! 自分の髪を取りもどしたいから――うっゲホ」 「ガトフォセ!」  ガトフォセはいきなり血を吐くと、イスから床に倒れた。 「おい、大丈夫か⁉︎」  ひどく咳きこんでいる。なかなか止まらない。咳きが出るたびに血を吐いている。様子がおかしい。 「おい、ガトフォセ、いま妻を呼んでくるからな!」  あわてたオレとちがい、ラベンダーはガトフォセが倒れても、すわったままスマホをいじっていた。 (なんで精霊がスマホなんていじってるかって? おいおい、そりゃ逆だ。どうして人間がスマホを使えてると思う? オレたちがアイディアを落として、普及させたからだ。非物質界ではスマホは紀元前からある)

カクヨムに上げている児童小説です。 『ラベンダーさんとオレンジくん ——フランスの悪臭を浄化せよ』 ハリーポッターやバーティミアス、ダレン・シャンのような海外ファンタジーです。ウィットに富んだ皮肉とジョーク、各国の文化、個性、スラングが魅力の植物擬人化アロマファンタジーです。 ナポレオンやシャーロック・ホームズ、オーキド博士(植物)が出てきます。

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投稿日時 : 2018/10/14 17:50

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