イチオシ作品

   白狐が鳴く「アワレな孤灯」 辺りは愁色染まりゆく
   嘲笑いの如く見目好い姿で吐き捨てる「化け狐」
  
   嗚呼、輪廻の夜が訪れる 売られた子狐猫に化かして
   嗚呼、次々野良猫拾われて しまいに芸を習わされ
   嗚呼、里心と嘆かれても 私は哀子で育たれた
  
   偽りの狸嘘吐き...

遊里の哀子

吉原で捨てられた赤子が、育つ間にかかった費用を遊女になって返す物語です。

ーーー
あるところにいた親は、赤子を吉原に捨てていきました。

その赤子は吉原で育たれ、その費用を遊女となって返そうとしました。

皆よりも優れた遊女になりたくて、稽古を幼少期から努めました。

が、その結果誰にも身請けできないくらいの高価な遊女になってします。

また、同年代の子供が売られてきたり、その子供に家に帰りたいと言われ、

自分には帰る家がないことを思い知らされました。

その子供は立派な遊女に成長しましたが、性病にかかって死んでしまいます。

さらに、周りの遊女も何らかな理由で、去っていきました。

その中には、身請けされて幸せになる少女たちもいました。

少女たちに憐れまれるけど、自分は安い遊女には戻れません。


ついに自分も性病になってしまいます。

なので、最後に願う我が儘を言いました。

遊女としての名ではなく、親が付けるような名前で呼んでほしい、と。

しかし、そのような名前もなく、太夫だった頃の名残を呼ばれることしかありませんでした。

長かった夜が明ける頃、ついに命も尽きます。

死体は野良犬たちに食われ、辺りは死体の栄養で鮮やかな緑が広がります。

最後には頭蓋骨しか残らず、その頭蓋骨は売られていった少女を見つめているように見えたそうです。



捨てられた赤子……巡音ルカ

同年代の少女……IA

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