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懐古 -響奏曲・Interlude-

 何だか、子供の頃に遊んだ『ひみつ基地』にいるみたいな気分にさせる部屋だなぁ。
 此処へ来ると、カイトはいつもそんな風に思う。天井まで届きそうな本棚と正体のよく判らない怪しげな瓶詰めの並ぶ試料棚に囲まれ、中央には大きな作業机がどんと据えられて、その上にはいつでもいろんなものが所狭しと広げられている、メイコの研究室。机上に留まらず床の上にもごちゃごちゃと散らばるそれらは、例えば作りかけの術具やその材料となる素材だったり、新たな術の構築式を書きつけた羊皮紙であったりする。雑然としていて、でも何処かあたたかくて、カイトは結構この部屋が好きだった。
 『塔』は、その名の通り敷地いっぱいに建ち並ぶ幾つもの塔を持っている。術士達が暮らす居住塔、資料庫付設の研究塔、術具制作の工房がある開発塔……最奥にひときわ高くそびえるのは、管理者達の座する中央塔。そんな中、メイコの研究室は開発塔の端にあった。だっていちいち工房借りに行ったりするの面倒じゃない――とは、研究塔から出る時に彼女が残した言葉だ。
 本来工房として使う事が前提の開発塔は、丈夫だが些か寒々しい。堅固な石を組み上げて魔術で補強した壁は、のっぺりとしていかにも作業室的だ。けれどこの部屋では、並んだ棚と巨大な石盤によってそんな壁が隠され、冷たい床には絨毯が敷かれ、更には休憩用だと上等の長椅子まで持ち込まれて、すっかり心地良くカスタマイズされてしまっていた。
 余談だが、壁に据えられた幾つもの石盤は、メイコに命じられてカイトが制作したものだ。直感的な閃きに依るところの大きいメイコが、術具や術式のアイディアを部屋の何処でもすぐさま走り書きできるようにと設計し、カイトに作らせた。

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2012/06/07 12:58

異世界・KAITO

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2012/05/18 18:31

明け方の日【シェアワールド】 響奏曲【異世界】

 提出用の書類を手に、メイコは「塔」の渡り廊下を歩いていた。
 「塔」の名の通り、その建物はいくつもの塔で構成されている。一番広く巨大なのは中央にある研究者用の塔で、次いで居住区としている塔。その二つの大きな塔から派生するように大小の塔がその周辺にそびえ立ち、その間を渡り廊下が繋いでいる。
 これだけ大きな組織となるまでに、幾年の歳月を経たのだろうか。居住区の塔から研究塔へ渡り、更にその回廊をぐるりと回りこんで中心に在る建物へ向かいながらメイコはそんな事を思った。どれだけの人がこの塔の中で暮らしそして終わりを迎えたのか。そんな事を考えながらメイコは「塔」のいちばん中央にある建物へ向かいながら思った。
いちばん中央にある塔は、この「塔」を統括する中心組織で、そこへメイコは新しい術式の申請書を提出しなければならなかったのだ。
 新たな術式を開発したら、その内容などを記し「中央」へ提出しなくてはならない。そうして、全ての術を管理するのが、「塔」の中の最大の権力を持つ者たちの仕事なのだという。単に自分が知らないことがあると不安だから、なんじゃないの。とメイコなどは皮肉込めてそう思ったりする。しかし、彼らの権力は絶大で、逆らうと酷い目に会うので誰も表立って非難はできないでいるのだ。

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2011/07/31 12:43

始まりの日【シェアワールド】響奏曲【異世界側】

 積み重ねられた知識の層が織りなす静謐な空間がそこには広がっていた。丈夫なつくりの棚に詰め込まれているのは過去から続く記憶の書。幾人もの賢者が思考錯誤し生み出した術式が記されたもの、この世界の生物全てに関する習性を緻密に研究したもの、古今東西の文化文明を事細かに記録したもの。
 そして嘘かまことか、胡乱な物語ばかりが綴られたもの。
 書物自体に貴賎は無く、全ての文献が紐解かれる時をただ静かに待っている。選ぶのは読み手側。事の優劣をつけるのは全て人の側。何が正しく何が間違っている、など書き遺されたモノたちには関係の無い話。
「塔」の中にある広い書庫の片隅にルカは座りこみ、古い文献を膝の上に広げていた。表紙はすり切れてしまっていて題字を読むことが不可能なそれは、とてもとても古い文献だった。あまりの古さゆえ、綴じられた紙は劣化し乱暴に扱うとぱりぱりとひび割れ破けてしまうほどだった。表紙の題字はもちろん描かれている文様も、すり切れ消えてしまっている。
 かつての昔は何度も撫で触れられて開かれたのだろう。人の手を幾度も渡った気配のあるそれを、ルカはそっと大切に扱いながら読み進めて行った。

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2011/07/24 18:07

異世界衣装設定(カイト上衣)

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2011/05/27 11:13

異世界カイト衣装設定(線画)

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2011/05/22 02:34

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