【二次創作】 或る詩謡い人形の記録『言霊使いの呪い』【自己解釈】

投稿日:2010/08/25 13:20:02 | 文字数:1,830文字 | 閲覧数:225 | カテゴリ:小説

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これで描いてる双子(兄カイト、妹カイコ)は
「兄(姉)ならば先に母の中に入ったので奥にいるはずであり、後から出てくるはず」
という説を利用している。
カイコが先に生を受けたからカイコのほうが力は強いけれど先に生まれた方が兄なのでカイトが兄。

素敵な原曲様
http://piapro.jp/content/9wjcmkl4r25f4bmf
http://www.nicovideo.jp/watch/nm4957010

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TEXT
 


其に生まれし双生の魔術師
一つの魂を分けたが故
半の力のみ所持
先に生まれしは男児
後に生まれしは女児
故に、先に生を受けた女児
若干に力強し
後に生を受けた男児
若干に力弱し




女は望む
我に力を



「一人じゃこんなことも出来ないんだろう!」

そう言って、初歩と言われる魔術─小さな火球─を生み出す男児。
其の中心に在るは青き髪の男児。

…痛い、痛い。

けれど其れを防ぐ術も、まだ一人では御しきることも出来ない。

「…なにしているの。」

その場に現れるは同じ色の髪をした女児。
けれどその女児は恐ろしく、美しかった。

「…べっ…別にっ…!!」

そういって男児を囲む者等は森のさらに奥へと逃げてゆく
─否、走って言った。

「…どうして、やられたまま黙っているの?」

あの程度なら上級の魔法で返せるでしょう。と。
女児は抑揚の無い声で男児に言い放つ。

「はは…。」

魔法を覚えることはできても御する事は出来ないからね、
怪我をさせてしまうかもしれない。

そう、男児が笑いながら言う。

─何故。
この人は自分が見下されているのに
そいつらを気遣うのだろう…

女児は不思議でならなかった。

─同じ血を分けた双生児なのに─



「分からないわ。」

力があれば、バカになんかされない。
どうして私達は力を制御できないの。


怒りを籠めた物言いで女児が言う。
その横には苦笑いをしている男児と
正面には長老と呼ばうる知力を持ったもの。

「どうして…?」

知者は不可思議そうに女児の顔を覗き込んで言った。

「…双子だから…じゃろう?」

「…双子だから…?それはどういう意味?」

女児は聞き返す。

「魔術師の双子など─力の元となる魂を半しか与えられねば力も半の力しか与えられない。」

「…それは」

男児が先を言うより、
女児が声をあげたほうが先だった。

「片割れいなくなれば 力は一つになれるの?」

「あぁ、もちろんだとも。」

知者の解答に女児は喜悦を浮かべ笑った。
男児は唯唯驚いた。



「…ねぇ、カイト。」

その帰り道、暗い夜道、森の道。
女児は静かに己の片割れの名を呼んだ。

男児は分かった。
彼女の言わんとすることが。

「カイトが居なくなれば、私は一人前になれるの。」

そういって振り返った女児は…
空想するかのようにどこか遠くを見ていた。

「…カイコは、独りになりたいの…?」

哀しそうに、男児が言う。

「一人前になれば、もうバカにされることもない。ねぇ、素敵だと思わない?」

同意を求めるように、とても優しい声が囁く。
目の前に近づいた片割れの顔は、気持ち悪いほどそっくりだった。

その顔が、その唇が、呪いの言葉を紡ぎだす。

「それなら私がこの手で殺せばいいでしょ」

まるで歌を歌うように…。

「僕はただ君と二人共に暮らせればいい。」

対する言葉をハッキリと、其の目の前で紡ぐが
彼女には届かない。
そんなこと分かっている。
今の彼女にとっては、双子など力を弱めているだけの弱者─足手まとい─でしかないのだ。
彼女は望む、プライドの高い彼女は望み続けていた

─力を。

だから。

「だけど君がそう望むのならば捧げよう。」

男児はその目に指を突き立てた。
流れ出る紅は
鮮やかな青い髪と
真っ暗な森に
見事なコントラストを描き出した。

「君の中で生き続けるよ。永遠に、ね…」

最期の言葉も、誰にバカにされたとしても笑っている彼。
まさに其れだった。

一人前にはなれても、独りになってしまう彼女を想っての言葉。
笑っていたのは─彼女に罪悪感を残さぬように。

静かに崩れ落ちる彼を女児は抱き上げる
紅が服に付いた。
彼女は笑った。

「これで私は…ッ…」

一人前になれるの。

言葉にならず、代わりに眼が熱い。
痛い─痛い─
眼が?心が?ドコが…
抉れたのは私ではなく兄の方よ?

崩れた兄の体を抱きかかえ
地に座り、女児は兄の紅に濡れた顔を覗きこむ。
段々と風に熱が奪われてゆく体と
自分に入り込む、兄の力。

「私は望んだ。この力を…兄のもの
 だけどどこか崩れた様な気がするのよ?」

女児は笑って嗤ってワラッテわらって
その眼から水を零していた。
零れた水が兄の顔に、眼に落ちて。

─まるで一つの涙さえ共有しているかのように。




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