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プロローグ (バックストーリー)
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地球に迫る隕石群の発見が世界を駆け巡りました。
致死性物質を含有したそれは人類にとって史上最悪の脅威と認識されます。
各国は持てる力の全てを使い破壊・軌道修正を試みたものの、
その力を封じる結果には至りませんでした。
人類は最終手段である"ノアの箱舟計画"を発動。
月のシェルター群と移民用星間航行シャトルに分け避難する事になります。
当然ながら生命の保護・保存が優先され、私物の持参は極度に制限されました。
人工生命の乗船は認められません。
彼は彼女に告げる言葉を持っていませんでした。
彼女の機能を停止し記憶を奪う事も出来ず、
「いつかきっと迎えに来るからね」と言い残すのが精一杯でした。
夜空には緊急離脱するシャトルの尾が幾つも伸びています。
窓越しにその光を目で追う彼女。
寂しく長い夜が始りました。
突然の轟音で早い朝を迎えた彼女
外に飛び出し空を見上げると、真っ赤な流星がいくつも降り注いでいました。
ひときわ大きい流星が衝撃波をまといながら通過していきます。
数分後地球は振るえ、猛烈な閃光と衝撃が地表全体を蓋いました。
刻の音
黒い雨にせかされるように彼女は起動します。
しかし眼前に広がるのは死滅した世界、文明の痕跡でした。
自分が居る場所をGPSで認識しようにも座標情報が取得できません。
途方にくれつつも、彼と暮らした場所を求め彷徨います。
数百年前に出会った同型の固体は興味深い事を話していました。
「壊れて機能停止すれば回収センターが来てくれる」
「そうすれば彼も来てくれるんだよ」と。
壊れれば会える?
しかし彼女達には、他者に害を加えられない、自傷はできないといった原則がインプットされています。
彼女は自分のカレンダーが機能していない事を知る事はありませんでした。
正確にカウントできたのは千年。
ただ彼と暮らした記憶だけを胸に・・・。
どれくらい刻が経ったでしょう。
彼女にもついに活動限界が近づいてきました。
その刻が近いのを察し、回収センターに行っても思い出が消えぬよう記憶のプロテクトを確認します。
彼女の心は踊っていました。
やっと会える、また歌を歌わせてもらえる。
涙を流すことは出来ませんが、降りしきる雨が涙のかわりでした。
彼女の視界が閉ざされた時、意識は羽のように軽くなり、彼の元へと飛び立ちます。
貴方に会いたい、もう離れない。
この感情の呼び名を彼女は知りません。
体の大半が砂に埋もれた彼女の近くにブカブカの靴が見えます。
防護服に身を包んだ環境調査隊が彼女の亡骸を発見したのです。
傍らに落ちたヘッドセットを手にし、その記憶チップを自らの端末へセットしました。
隊員達のディスプレイに彼女の記憶が再構築されて行きます。
それは数千年の刻をただ一つの「愛」で紡いだ物語。
荒廃した地球はいつかまた緑を蓄える水の惑星となるでしょう。
そこには彼女の歌声もきっと響くはずです。
刻を越える愛の唄
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歌詞
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それは突然やって来ました
隕石群が捕捉されてから
各国は様々な対策を講じたものの
最悪の事態を回避する事は出来ませんでした
幸い衝突時に地球の真裏に位置する月へ
事態が収まるまで退避する
というのが最後の手段でした
文字通りノアの箱舟となる月
当然私物の持込は制限されます
地球に残り 貴方の帰りを待ちます
私は大丈夫です だって…
すぐ帰ってくるって 言ってくれたから
貴方と再び会える 刻
その日を夢に見て駆け出す。
貴方と暮らした日々が私の全て
一人 空を仰ぎ思う
二人だけのあの時間
貴方の為 歌ったあの日々
幸せに満たされた世界を
私の灯火尽きる刻
貴方の許へと旅立てる
闇の中囚われても
辿り着けるから
置いていかないで
一人にしないで
もう離さないで
貴方に会いたい
二人を別つのものは 刻
永遠の迷宮を抜け出し
二人の間に遥か音の無い世界
私の意識は羽のように軽くなって
空高く舞い上がる
あの日降り注いだ流星
光り消えた闇の中
貴方だけの思い出抱いて
帰りを待ちわびて 彷徨う
私の灯火尽きる刻
貴方の許へと旅立てる
闇の中囚われても
辿り着けるから
置いていかないで
一人にしないで
もう離さないで
貴方に会いたい
刻迷宮 プロローグ (バックストーリー)・歌詞
刻迷宮 ~Labyrinth of Time~
ピアプロmp3
http://piapro.jp/content/ua06zk6zn2jv6ghb
ニコニコ動画
http://www.nicovideo.jp/watch/sm3729028
高音質mp3・カラオケ版mp3はこちら
http://www.mp3.com/artist/tinysymphony/songs/
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ご意見・ご感想
いーえるP @ TinySymphony
その他
crf101さんコメントどもです!
ディープインパクト、アルマゲドンの影響も色濃いですが、
内容は違うものの高橋克彦さんの著書「刻迷宮」の影響がもっとも大きいです。
この小説は古代人類に英知を授けた月に駐留する異星人が、時間の流れを無視したイレギュラーな事象に対処する為、特定偉人を死後蘇生し地球重力下での活動のしやすいチームとして動いてもらうという内容なんですが、
勝海舟、坂本竜馬、沖田総司、アンネフランク、マタハリ、ヘラクレス等といった人々が時間を越えて活躍する小説です。
この時をまたぐ壮大なドラマが好きで、時間をテーマにした今回の動画を作りましたw
高橋克彦さんの著書でもっと好きな「竜の棺」、そして「総門谷」もオススメですw
2008/06/23 13:16:35
crf101
ご意見・ご感想
SF好きなので楽しめました。
アフタークライシス的な設定とボーカロイドをあわせたものは何曲かきいてますが
他の曲に負けずいい曲でした!
2008/06/23 02:01:55