ドミニオン・ビスク
曰く伝えられる人形
同じ朝に産み出された
退屈な日々の中で
繰り広げられる悪戯
呪文を唱えて動き出す時計
窓が開いたら世界が移り変わる
解き放たれた魂
自由に街を統べる
秘める情念溢れて
夜空に虹がかかる
月の光浴びて
今宵舞い踊るのは
虚像で象られた
白いドミニオン・ビスク
朝陽が射す頃に眠る
与えられた御伽噺
何一つ不自由はない
捻れて錆付いたメロディ
光に包まれ何度も見る夢
太陽の下で影と遊んでみたい
求めるほど切なく
埋められぬ差に沈む
遥か遠いエルドラド
星を越えたその先
望みの代償は失った心臓
憐れな亡者の声
歌い続けるララバイ
小鳥がさえずり花が咲く
風に触れ頬に紅が差す
水面に映る空の青さ
凍りつく歪んでく
音を立てて割れた
砂塵に苛まれて
蝕まれる面影
刻みつける烙印
二度と戻れない系譜
傀儡に塗れる街
共に底まで堕ちる
闇に焦げる頃には
崩れゆく脆い肌
たとえ朽ちようとも
唄は永遠に止まない
偽られた領域で
築き上げるユートピア