歌詞設定作品

【A】
朧 はらり 棚引く薄雲よ
そよぐ 夢見の枝に 繊の朏 掛かりて
灯り 陰り 遷ろふ 盈ち虧けは
夜毎に ただ 千々 乱れゆく
この心 映すばかり
【B】
契りし待宵 巡りて悠か遠く
儚き虚事となりぬれど 尽きせぬこの想ひよ
【C】...

【採用】月影、何思ふ【修正済】

紗綺

紗綺

いのし課長P様の『【巡音ルカ】月影、何思ふ【詩、絵、動画募集】【オリジナル】【ヴォーカル仮録音】』http://piapro.jp/t/dS2bの歌詞公募への応募用に書き下ろした歌詞です。
ご採用頂きました、有難うございました!

調整作業に合わせまして一部文字を追加致しました。

壮大な和の雰囲気と世界観、切なくも優雅な曲調に惹かれ、脳内に広がる物語を集約させるのに苦労しながら気合を入れて書かせて頂きました。
併記した読み仮名中で()内に表記した部分は、歌詞にはないけれど歌わせることを想定しています。

大枠は悲恋歌です。
平安~戦国時代くらいの時代背景で、訪れぬ恋人を想い、月を見上げて物思いに耽る女性をテーマにしました。
が、この曲の持つ壮大さを活かすにはただの恋歌では勿体無く感じまして、何となく人の世の儚さ・無常感なども含めてみたつもりです。
この歌の主人公である女性の想い人はただ彼女の元を訪れなくなったのではなく、戦地に向かって旅立ち恐らくはそこで命を落としてしまっており、彼女自身も薄々そのことに気づいています。
定めの儚さを噛み締めながら、それでもなお募り続ける愛しい人への思いを夜空に歌っている……という、そんな雰囲気を目指しました。

タイトルとして設定されていた“月影、何思ふ”からも着想を頂きましたので、歌詞中には『月』を象徴的に使うよう意識しました。
が、逆に敢えて明確な『月』という単語は使わず、異称などや比喩のみで表現しました。

別称や比喩の意味は以下に纏めました。

朧=朧月。薄雲がかかりぼんやりと霞んだ月。
夢見の枝=桜の異称、『夢見草』より。
繊=繊月。糸のように細い三日月。
朏=三日月。
盈ち虧け=月の満ち欠けを意味するときに使う文字。
待宵=待宵月。十五夜の前日の月。
天つ鏡=月の異称。天鏡。
朔=新月
上つ弓張=新月から満月に向かう途中の上弦の月。
有明=有明月。夜が明けてもまだ空に残っている月。

別投稿にて現代語訳詞も投稿してあります。

非常に楽しみながら書かせて頂きました。