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永久少年

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【永久少年】

彼は歩きました。幾千の時代を。
彼は出会いました。幾千の死に。
彼は思いました。時間というもの――それは呪縛に他ならないと。

彼には、限りがありませんでした。
彼は、死ぬことを知らない身体を持っていたのです。
そう、彼は、「永久」を歩む者。「永久少年」でした。
永久少年は、いつも1人でした。

永久少年は、
愛されることを知りませんでした。
愛することを知りませんでした。
人の温もりを知りませんでした。
痛みを知りませんでした。
楽しさを知りませんでした。

けれど、そんな彼でも、1つだけ知っているものがありました。
それは、「悲しい」という事。
彼は、たった1つのその感情を、いつも心に宿していました。

彼が触れることを許されたのは、
風。
水。
大地。
火焔。
彼は、「生」あるものとの触れ合いを知りませんでした。

雨が、彼の身体を冷やし続けます。
その冷たさは、氷のように冷たく、彼の心に染みていきました。

永久少年は、願いました。
「何もかもを知らなくてもいい。僕の世界から、時間を消し去ってしまいたい」
そう、永久少年は、消えることを望んだのです。
しかし、彼のその願いを聞いてくれるものは、――否、彼のその願いを叶えられる者は、誰1人と居ませんでした。――神でさえも。

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