Guliver32の投稿作品一覧
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あと少し もう少し そばにいたくて
手を振った君をまた呼び止められず
まだ寒い風が吹く駅のホームで
過ぎていく時間にただ取り残されている
意味もなく眺めてるニュースサイトに
本当に知りたかったことは載っていなくて
目を閉じてぼんやりと電車に揺られ
震えない携帯を握りしめていた
他の誰かになれるだろう...蕾
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少し癖毛の髪を撫でつけ 鞄片手に家を飛び出す
いつもの場所で待ってた君に 遅れちゃったと謝りながら
いつまでもこんな日々が続くように
届けてよ 私の願いを
今すぐ駆け出しそうな ココロが抑えられないのは
きっと夏の太陽のせいさ
恋するこの気持ちが 君に伝わるように
今日も 明日も ずっと大好きだよっ...夏風
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煙る月影 棚引く夜風 揺らぐ蝋燭の火は
濡れた闇夜を照らす灯りには あまりに細く
映える鮮紅 遥かな雲居 彷徨う指先
ただ触れることさえ望むべくもなく 幻は消えて
数ならぬこの身を嘆くほどに
募りゆく想いならば いっそ涙に流して
風が寒い夜には あなたにただ縋って
重ね合った温もりに抱かれて眠る夢を...澪標
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誰かの笑い声が 耳に届き振り向いた
かける言葉も見つからず 遠くで眺めていた
手を伸ばしてみたけれど 掴めないその光は
私の後ろに黒い影を作り出した
望まなければいいとわかっている
近づけば灼かれてしまうことも
なりたいものになれない運命なら
息苦しい場所から遠ざけて
綺麗なものは見たくない
捨て去...エリコの壁
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まばゆい光の中 産声をあげた
優しさにあふれる 歌声を響かせて
形のないもの それなのに心を打つもの
教えてくれたこと 世界を彩るよ
紡いだ言葉 奏でた旋律は 時を越えて
僕たちを まだ知らない明日へと導く 虹を架ける
楽しかったこと 辛かったこと 分かち合い
いつまでも 共に歩んでいきたいと そう...祝福の虹
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頬を撫でる風が 夏の薫りとそよぐ
さやけき空は 透き通る青
在りし日の記憶に いつも輝いていた
失くした色は 見つからなくて
もう会えないの 二度と
瞳閉じて 深く深く潜り
耳を澄ませ待っていた
いつかの声が 胸に響いた
遠く揺らめく君は陽炎
何処まで行くの 答えはもう聞こえない...蝉時雨
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擦り切れていく日常と 変わることのない現実に
私の生きる意味など まだ残されているの
叶わないと知ったから 夢見ることは諦めた
それでも眠れない夜は 今日も明日も続く
吐き出したのは 子供騙しの 理想と嘘と
澱のように 沈む私を救ってという祈りの言葉
微かな希望 探し求め歩き
どこにも繋がれないまま...鈍色エメラルド
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変わらないものだけ 此処に集めて
そのなかで二人 このままずっと
綺麗なものだけ 此処に束ねて
いつまでも二人 眺めていたい
風が鳴り やがて 嵐が訪れる
最後の祈りさえ 嘲笑うように
指の間 零れ落ちて
二度と元には 戻らない
だから私 花の中で眠るの
近くにいたいと 思うことすら...花葬曲
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ああ 滲む夜空を 濡らす粉雪は
微かな 痛みを残して 消えてしまったの
かじかんだ 指先を温め
君の手を ぎゅっと握りしめた
続いてく 当たり前の日々の
幸せを ずっと守りたくて
どこで覚えたのだろう
なにを夢見たのだろう
空っぽの器だけ積み重ねてきて
後になにか残ったの...嘘と真実
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夏の宵 鈴の音 戦ぐ風
澄んだ 水面に映る
せめて 流れていく灯火よ
いつまでも 消えないでいて
高き空に 果てが もしも あるのならば
誰しもまた やがて 辿り着くのだろう
喜びも 悲しみも すべて 此処に残して
川渡る 君のため 送る灯りは 一夜の夢よ
夏の宵 鈴の音 戦ぐ風
澄んだ 水面に映る...送り火
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胸をよぎった思いは 言葉にならずに消えた
虚ろに揺れるシャンデリア 光と影を生み
誰からも与えられず 何ひとつ求められず
そして世界は今日もまた 少し遠のいていく
触れないように 見えないように
押さえつけて軋み歪んだまま
悲鳴をあげる ことすら忘れ
安らぎの無い眠りへと落ちる
籠の中しまい込んだ ...Vacancy
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優しい光浴びて そっと夜は動き出す
差し出したこの手は 届かないけれどそれでも
この身縛る茨(いばら) すべて溶かしてほしいよ
そうしたら夜空に 舞い上がっていけるのに
すべてを照らすのに 誰も照らしはしない
ただそこに在ることに 理由が無いというなら
私を見てよ ほらこんなにも
貴方を求め 彷徨(...月下の告白
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不機嫌な風 草を揺らす 僕も揺れる
薄く笑って またゆっくり 歩いていく
君とつないだ 右手そっと 空にかざす
夕日に透けた それはとても 頼りなくて
君と過ごす時間は とても幸せで
胸がいっぱいになって
いつまでもこんな時が 続けばいいと
願うことしか 今の僕には できないんだ
僕の小さな掌では ...掌
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研ぎ澄まされた 刃のような
冷たい風が私の 眠りを覚まして
涙をそっと 指でぬぐっても
心に残る痛みは 消えることなく
貴方がいなくても 世界は廻ってく
私のこの両手が 届かないのなら
せめて私の想いを 乗せて舞え
高く 篝火
「辛い」「悲しい」 負の感情は
壊れた日々の中では 押し潰されても...篝火